研究課題/領域番号 |
19K09842
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
遠藤 一平 金沢大学, 附属病院, 助教 (30547154)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 化学療法 / PDX |
研究実績の概要 |
癌細胞株を移植したCell line-derived xenograft(CDX)モデルマウスに比して、よりヒト頭頸部癌の性質に近いモデルとして、実際の癌患者腫瘍組織を移植したPatient-derived xenograft(PDX)モデルマウスが新規バイオマーカー探索や治療開発分野で注目されている。 今回当科ので生着がえられた頭頸部癌PDXモデル5例における患者背景や薬剤感受性試験結果について報告する。25名の頭頸部がん患者の腫瘍組織をNOD-SCIDマウスへ移植した。薬剤感受性試験をCisplatin奏功例の下咽頭癌PDXモデルに対して実施した。NOD-SCIDマウスに2代目まで継代できた腫瘍をBalb/c-nu/nu nudeマウスに移植して生着した腫瘍を別のnude マウスに移植して、薬剤投与を行った。Control群、Paclitaxel群、Cisplatin群 に薬剤投与し、day42に犠牲死させた。 生着率は全症例で5/25(20%)、手術症例で5/18(28%)、生着症例で0/7(0%)であった。手術検体断端陽性、術後CCRTが実施された症例に有意に生着がえられた(P<0.05)。Cisplatin奏功例の下咽頭癌PDXモデルに対して実施した薬剤感受性試験では、Cisplatin・Paclitaxelいずれもcontrol群と比較して有意に腫瘍縮小効果を認めた。MDR1・MRP2発現については患者腫瘍と比較してPaclitaxel投与後にMDR1・MRP2発現スコアの有意な増強、Cisplatin投与後にMRP2発現スコア有意な増強を認めた。本研究では薬剤耐性にかかわる因子として、ABC-transporterのうち、MDR1、Cisplatinを基質とするMRP2に着目し,頭頸部癌PDXモデルはABC-transporter機能研究に応用できる可能性がある
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頸部癌化学療法においてPDXモデルを用いて一定の成果が得られた
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今後の研究の推進方策 |
今後は頭頸部癌化学療法(特にシスプラチン)において、癌代謝阻害剤(糖代謝阻害剤)を併用した抗腫瘍効果の増強効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定薬品、使用細胞、物品等が想定よりも少なくすんだめ、次年度に繰り越す。引き続き次年度以降に本研究のために物品、薬品購入にあてる予定である。
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