研究課題/領域番号 |
19K09843
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
清水 志乃 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (50505592)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エクソソーム / 細胞外小胞 / 好酸球性鼻副鼻腔炎 / 鼻茸線維芽細胞 / 好酸球 / VEGF / 鼻腔洗浄液 |
研究実績の概要 |
好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鼻茸線維芽細胞の培養上清中の細胞外小胞を回収し分析した。より多くの細胞外小胞を回収するために、鼻茸線維芽細胞はエクソソームを除去したFBSを含む培地で7日間培養し、培地を回収した。回収した培地から市販のエクソソーム抽出キットと超遠心法の2つの方法で細胞外小胞の回収を試みた。ELISA法でエクソソームの濃度の高かった超遠心法のサンプルを解析に用いた。解析の結果、細胞外小胞の直径は平均133nmで、エクソソームのサイズと一致した。走査電子顕微鏡でその形状を確認した。また、濃縮した細胞外小胞をEoL-1細胞に添加すると24時間後の上清中のVEGFが有意に上昇した。さらに、鼻茸線維芽細胞とEoL-1細胞の細胞間相互作用にエクソソームが関与することを確実にするため、鼻茸線維芽細胞を2種類のエクソソーム阻害薬(GW4869、DMA)でそれぞれ前処理し、共培養に用いた。その結果、阻害薬で処理した群では共培養時の上清中のエクソソーム、VEGF濃度が共に低下した。鼻茸線維芽細胞と好酸球の共培養では、血管透過性亢進や血管新生などの組織リモデリングにおいて重要な役割を果たす因子であるVEGFの濃度上昇が生じ、その反応の一部ににエクソソームが関与することが分かった。これらの結果から、エクソソームが難治性の好酸球性鼻副鼻腔炎の治療のターゲットとなる可能性が示唆された。 臨床検体を用いた検討では、ELISA法を用いて鼻腔洗浄液中のエクソソームを検出することができた。さらに、鼻腔洗浄液から細胞外小胞の分離方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染の拡大によって、鼻腔洗浄液の収集が一時できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体(鼻腔洗浄液)からの安定した細胞外小胞の抽出方法を検討するとともにエクソソームの含む蛋白質の解析に進みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染の拡大によって臨床検体の収集に一時中断が生じたため、予定していた解析の一部が実行できなかった。次年度に実施を予定している。
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