研究課題/領域番号 |
19K09852
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尾崎 慎哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70646455)
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研究分担者 |
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20620983)
鈴木 元彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (50326138)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 嗅覚障害 / 行動解析 / 薬剤性嗅覚障害 |
研究実績の概要 |
嗅覚障害の原因の代表的原因として、鼻炎、薬物、外傷と考えた。そして研究の第一として、まず嗅覚障害モデルマウスの作成をおこなった。アレルギー性鼻炎のモデルマウスを、OVA(卵白アルブミン)を腹腔内および、点鼻する方法で作成した。薬剤性嗅覚障害のモデルマウスとして、メチマゾールを75㎎/kgを腹腔内に投与した4週齢のマウスを作成した。以上二つのモデルマウスを作成することに成功した。 第二に嗅覚障害を実際にモデルマウスが来しているかを確認するため行動解析を行った。 匂い物質に対して、嗅覚障害モデルマウスとコントロールマウスとの反応の違いをみる方法をとった。コントロールマウスには生理食塩水を点鼻した。薬剤性嗅覚障害モデルマウス5匹とコントロールマウス5匹で行った。実験準備としてI字型のゲージを使用した。マウスの嗅覚が正常の場合、酢酸を忌避することを判断基準とした。Iゲージの両端の一方に酢酸をしみこませた餌と、反対側に通常の餌を置いた。ゲージの中央にマウスを置き、その動きを動画にて撮影した。判断の目安として通常の餌にたどり着くまでの時間を計測した。 結果、コントロール群の到達時間は平均20秒程度、薬剤性嗅覚障害モデルマウスは平均40秒程度であった。そのため嗅覚障害による回避行動の遅延が認められた可能性が高い。しかしながら薬剤性嗅覚障害モデルマウスには一部コントロールと同等の酢酸回避能をもつ個体も認められた。そのためメチマゾール投与によって嗅覚障害をきたさない群もあると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アレルギー性鼻炎モデルマウス、薬剤性嗅覚障害モデルマウスを作成したが、研究の続きとして外傷性モデルマウスを作成することを検討していた。 嗅糸断裂マウスの作成には外科的手術にて開頭することが必要であり、2020年1月以降に検討していた。新型コロナウイルスの蔓延もあり、動物実験施設よりマウスの新規購入を見合わせるように通告があった。また複数の人間の対応が必要となる実験を見合わせるように大学から指示があり一時中断とせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年は嗅覚障害モデル動物の作成に時間を要した。その中でアレルギー性鼻炎、薬剤性嗅覚障害のそれぞれのモデルマウスを作成した。また行動解析を行い、実際に嗅覚障害が生じていることを確認した。しかし、社会的事情により実験を中断せざるを得なかった。 今後、コロナウイルスの感染リスクが下がり、動物実験を行うことが可能となり次第、続きの研究を行う予定である。具体的には、最初に外傷性モデルマウスの作成をまず行う方針である。頭蓋底から鼻腔内に伸びる嗅糸を切断して外傷性嗅覚障害モデルマウスを作成する。次に、外傷性モデルマウスと通常のコントロールマウスに対してし、行動解析を行い、嗅覚障害が発症していることを確認する。 また、マウスの切片を適宜作成し、OMP(olfactory marker protein)抗体、Eotaxinなどを用いた、マウスの嗅球、嗅粘膜の免疫染色を行う予定である。また手術など実際の臨床における外傷性嗅覚障害についても調査を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年は嗅覚障害モデル動物の作成に時間を要した。 しかしながら新型コロナウイルスの流行という社会的事情により、マウスの行動解析などの実験を中断せざるを得なかった。 そのため年間使用額において予定より余剰が生じることとなった。 今後、コロナウイルスの感染リスクが下がり、動物実験を行うことが可能になり次第、次の実験を行う予定である。
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