研究課題/領域番号 |
19K09864
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉本 寿史 金沢大学, 附属病院, 講師 (20547179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PAX2ヘテロノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
当院腎臓内科との共同研究により、腎コロボーマ症候群の患者およびPAX2のヘテロノックアウトマウスの解析を進めている。加えて今回はじめて原因遺伝子として同定されたKIF26bのヘテロノックアウトマウスの解析も行うことで、腎コロボーマ症候群原因遺伝子異常による聴覚器異常の全容を世界に先駆けて明らかにすることを予定している。 本年度は腎コロボーマ患者、PAX2およびKIF26bヘテロノックアウトマウスの内耳形態異常をCTスキャンにて解析することを試みた。ヘテロノックアウトマウスの生後の内耳形態の観察を小動物用CTスキャン(Aloka Latheta LCT-200, Hitachi, Japan)にて撮像したのち、3D再構築ソフト(ZIO station with TXA version2.4.3.3)にて再構築して正常内耳形態との比較検討を試みた。次に腎コロボーマ症候群患者の内耳形態をCTスキャンにて撮像し、正常蝸牛の所見との比較を試みた。 当院の腎コロボーマ患者は高音域において感音難聴を示す傾向があったため、高周波領域のコルチ器に異常を来している可能性がある。そこで高周波領域の外有毛細胞の数に差があるという仮説を立て、その検証を試みた。蝸牛の頂部からの距離によってコルチ器の部位を分類し、その部位の外有毛細胞の定量を行うことで、周波数に対応した外有毛細胞の数の差を正常マウスと比較検討を試みた。また、弁別能の低下の有無を確認するため、頂部と第2回転と基底回転におけるラセン神経節の神経線維が月齢ごとに変化するか検証を試みた。 COVID-19感染拡大のため、動物実験や被検者の検査が滞り、有意な結果を得るには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大のため、動物実験や被検者対象の調査が滞ったため。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスのコルチ器を組織学的手法にて解析する。蝸牛の頂部からの距離によってコルチ器の部位を分類し、その部位の外有毛細胞の定量を行うことで、周波数に対応した外有毛細胞の数の差を正常マウスと比較検討する。また、弁別能の低下の有無を確認するため、頂部と第2回転と基底回転におけるラセン神経節の神経線維が月齢ごとに変化するか検証する。 PAX2およびKIF26bヘテロノックアウトマウスに対して耳毒性のある薬物を投与することで、内耳脆弱性の検証を生理機能および組織学の両面から行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はCOVID19感染拡大のため動物実験および被検者を対象としたデータ採取が滞り、研究費の使用が大幅に減少した。次年度は感染拡大が落ち着くことが予想される。遅れていた動物実験および被検者を対象としたデータ採取に加え、2022年度の予定研究を進めることができると予想されるため、もとの計画に沿って使用予定である。
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