研究課題/領域番号 |
19K09871
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
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研究分担者 |
北村 嘉章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60380028)
松田 和徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (60721785)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 前庭代償 / 過重力負荷 / 自発眼振 / 深部知覚刺激 / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
過重力負荷による深部知覚刺激が前庭代償に与える影響について検討した。一側の内耳を破壊したラットの前庭代償の前期過程を内耳破壊後の眼振数の減少で評価し、後期過程をMK801により健側前庭神経核に出現するFos陽性ニューロン数の減少で評価した。ラットの内耳を破壊した後に過重力刺激装置のケージに入れ、1日1回、2Gの過重力刺激を60分間与えた。しかし、過重力負荷による深部知覚刺激の反復は、前庭代償の前期過程にも後期過程にも影響を与えなかった。2Gの過重力刺激ではラットがケージの中で移動しなくなり、逆に深部知覚刺激が減少して前庭代償に影響しなかったと考えられた。そこで過重力刺激を1.5Gに変更したが、1.5Gの過重力刺激による深部知覚刺激の反復も前庭代償の前期過程にも後期過程にも影響を与えなかった。以上の結果から、過重力負荷による深部知覚刺激の反復は前庭代償を促進しない可能性が示唆され、深部知覚刺激の反復による前庭代償の促進が平衡訓練の作用機序である可能性は否定的と考えられた。 次に、ヒスタミンH3受容体拮抗薬であるbetahistineが前庭代償に与える影響について検討した。一側の内耳破壊後、ラットの腹腔に浸透圧ポンプを埋め込み、H3受容体拮抗薬であるbetahistineを100mg/kg/日と200mg/kg/日の用量で14日間、投与した。その結果、betahistineは前庭代償の前期過程に影響を与えなかったが、後期過程を用量依存性に促進した。このことから、betahistineの抗めまい効果が前庭代償の後期過程の促進に基づくことを明らかにすることができた。しかし、過重力負荷による深部知覚刺激の反復が前庭代償を促進しなかったことから、過重力負荷による深部知覚刺激とヒスタミンH3受容体拮抗薬の併用が前庭代償に与える影響は検討できなかった。
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