| 研究課題/領域番号 |
19K09872
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| 研究機関 | 大分大学 |
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研究代表者 |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
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| 研究分担者 |
安倍 伸幸 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10433054)
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 加齢 / 粘膜免疫 / インフルエンザ菌 |
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| 研究実績の概要 |
5週令から1年６ヶ月までのBALB/cマウスを用いて検討を行った。まずは、経時的な免疫応答に対する変化を観察するために、5週令、6ヶ月、1年、1年６ヶ月齢マウスにインフルエンザ菌由来の外膜蛋白(OMP)を用いて免疫を行なった。各マウスから、中耳 骨胞、鼻粘膜組織、鼻粘膜関連リンパ組織(NALT)、肺、頚部リンパ節を採取し て、中耳骨胞はコラゲネース処理を行い、他の組織はスチールメッシュ処理により細胞レベルまで組織を粉砕している。中耳組織以外の粘膜組織においてはパー コールによる2層比重遠心法により単核球を採取しており、NALT、頚部リンパ節 などのリンパ組織はスチールメッシュ処理で得られた試料を用いて解析を行って いる。得られた試料は、この度はB細胞の解析を行うため、各組織から採取した単核球を蛍光標識したFITC標識抗マウスB220抗体、PE- Cy7標識抗マウスCD19抗体、APC標識抗マウスCD22抗体(全てBioLegend社、CA、USA)を用いて単核球を染色し、B細胞の分画 およびCD19陽性B細胞の成熟度について検討を行った。また、中耳洗浄液や鼻腔洗浄液や血清を採取し、OMP特異的IgAおよびIgG抗体価を測定した。各試料から得られた単核球数においては、加齢に伴う変化はあまり認められなかったが、中耳組織、鼻粘膜組織などの粘膜組織におけるCD19陽性B細胞比は加齢に伴い減少するものの、鼻粘膜関連リンパ組織（NALT）、肺、頚部リンパ節においては、経年的に増加していた。またCD19陽性B220lowCD22lowB細胞である抗体産生能を示すplasmablast細胞は若年マウスにおいて明らかに増加をしていた。また、OMP特異的抗体価においては、加齢に伴い中耳洗浄液および鼻腔洗浄液中OMP特異的IgA抗体価の減少を認め、血清中OMP特異的IgG抗体価の減少も認められた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加齢に伴う変化について、中耳組織、鼻粘膜組織、鼻粘膜関連リンパ組織(NALT)、肺、頚部リンパ節での解析を行っており、加齢にともなう免疫系の機能変化は総じて免疫老化については、B細胞を中心とした液性免疫系細胞は加齢に伴って徐々に低下する傾向について報告があるが、今回の実験経過においてもOMPによる粘膜免疫における応答に対して、上気道粘膜免疫に関わるB細胞においても経年的な免疫応答の減弱を認め、諸家の報告同様の傾向である事が示された。今後は加齢に伴う鼻咽腔や中耳におけるインフルエンザ菌クリアランスにおける影響について検討する。
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| 今後の研究の推進方策 |
5週齢~1年６ヶ月齢BALB/cマウスを用いて、インフルエンザ菌由来蛋白抗原を粘膜アジュバントとともに経鼻投与群の作成を行い、免疫後 に 血清、鼻腔洗浄液、中耳洗浄液を採取後、各種臓器における細胞生物学および学的分子生物学的解析を継続して行う。フローサイトメトリーによるCD4陽性T細胞分画の解析を行い、セルソーターを用いて各臓器よりT細胞分離後にRNAを抽出し、innate and adaptive immune responses PCR arrayを施行し、Tリンパ球のカスケードをRNAレベルか ら解析し、免疫応答でのカスケードの解明および細胞内シグナル伝 達の解析を行い、加齢に伴う免疫誘導に関与する因子について継続的に研究を行う。粘膜組 織、リンパ組織からT細胞分離後、feeder細胞と共に抗原刺激を加え培養し、MTT assay によるT細胞proliferation解析を行い、ELISAなどによる抗原特異的抗体 価測定、抗原特異的抗体産生細胞数をELISPOT法にて計測しなどを行う。血清、中耳、鼻 腔洗浄液中のTNF-α、IL-1β、IL-4、IFN-γ、IL-6、IL-10、TGF-β、 IL-17といったヘルパーT細胞、制御性Tリンパ球やTh17細胞の分化に関与する各種サイトカ イン濃度を測定し、免疫応答におけるサイトカインネットワークにつ いて調べる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の世界的流布により国際学会などに参加できなくなったため、残金が生じている。また、使用計画としては残金が少ないので文献を収集したり、論文 校正に使用する予定である。
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