研究課題
唾液腺腺様嚢胞癌モデルの開発を行い,世界で初めて唾液腺腺様嚢胞癌組織からPDXモデルマウスおよび癌オルガノイドを作製し,さらに癌オルガノイドをNSGマウスに移植することに成功した。この癌オルガノイドとマウスモデルを用いてin vitroおよびin vivoでの生物学的特性の解析が可能になることを明らかにした(Int J Cancer, 148(1): 193-202, 2021.)。さらに,唾液腺癌患者の組織中で交感神経が増加していることを見出した(多田雄一郎,高橋秀聡ら:唾液腺導管癌における自律神経(交感神経・副交感神経)の臨床・分子病理学的意義.第11回国際医療福祉大学学会学術大会)。また,癌微小環境における神経の役割について,AACR Annual Meetingで発表を行い(Amit M, Takahashi H, et al.: Cancer takes a nerve: Loss of p53 drives neuron reprogramming in head and neck cancer. AACR Annual Meeting 2021),総説を3編出版した(①高橋秀聡ら:Head and Neck Tumor 頭頸部腫瘍 診断・治療に向けた新技術の展開 p53変異による癌関連神経の再プログラミング.癌と化学療法,48(7):900-902,2021.②高橋秀聡ら:【がん微小環境に1細胞レベルで挑む 技術革新で見えてきた腫瘍内の細胞と免疫応答の多様性、がん悪性化・治療抵抗性の鍵】(第1章)がん幹細胞を支えるがん微小環境の多様性 神経によるがんの進展.実験医学,39(12):1881-1886,2021.③高橋秀聡ら:【口腔癌診療の最前線】口腔癌とその周辺 口腔癌と神経.JOHNS,37(5):529-532,2021.)
2: おおむね順調に進展している
唾液腺腺様嚢胞癌のモデルの樹立を世界で初めて成功させたことに加えて,唾液腺腺様嚢胞癌の進展と交感神経の関係が明らかになりつつある。
癌微小環境における唾液腺腺様嚢胞癌およびそれ以外の唾液腺癌と神経との相互作用について,樹立されたマウスモデルを中心に解明を進める。また,患者検体を用いて,唾液腺腺様嚢胞癌組織中の神経密度が予後と関連しているかどうかを検討し,さらには癌関連神経を標的とした治療の基礎実験をモデルマウスを用いて行う。
新型コロナウイルス感染症の流行の影響で予定されていた実験および学会発表が延期されたため。2022年度に延期されていた実験および学会発表を行う予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
International Journal of Cancer
巻: 148 ページ: 193~202
10.1002/ijc.33315
癌と化学療法
巻: 48 ページ: 900-902
実験医学
巻: 39 ページ: 1881-1886
JOHNS
巻: 37 ページ: 529-532