研究課題/領域番号 |
19K09874
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森本 千裕 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70445071)
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研究分担者 |
西村 忠己 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60364072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軟骨伝導 / ABR / 伝導経路 / 振動子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、聴力検査が困難な例でも軟骨伝導補聴器の評価に使用できる、「軟骨伝導振動子を用いた聴性脳幹反応( Auditorybrainstem response: ABR)」 の検査方法の確立である。本研究は2020年5月に本学における「医の倫理審査委員会」にて承認された。
2020年5月から前回報告した、作製した軟骨伝導振動子と気導受話器と軟骨伝導ヘッドホンの切り替えを行う軟骨伝導切り替えスイッチを使用し、健聴者を対象として軟骨伝導振動子からの出力による純音聴力検査とABRの検査を開始している。2021年4月に健聴者における検査を終了した。実験では同振動子を使用して純音聴力検査をはじめとした自覚聴力閾値を測定した。これは耳科学的に正常な18歳から30歳までの多数の評定者の聴覚閾値の最頻値を得て基準値を作成することを目的としている。結果、10名の健聴者のデータからは、自覚的聴力閾値と軟骨伝導を使用して得たれた閾値の差が、軟骨伝導のほうで有意に大きいことが判明した。ABRと自覚的な閾値の差が軟骨伝導で大きくなった理由として、Simokuraらの報告にあるように、軟骨伝導振動子は1kHz以下の中低音域でより増幅効果が大きいが、ABRでは2kから4kHzの音を中心に波形が構成されるため、低音部の増幅効果がなかったことが考えられた。そこで我々はこれらの周波数別による音響特性を、clickとトーンバーストを用いた軟骨伝導ABRで確認することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、軟骨伝導振動子を作製し健聴者における軟骨伝導振動子を用いたABR検査を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの検査で得られた結果からは、軟骨伝導振動子特有の周波数別の音響特性が推定される。今後は周波数別の軟骨伝導ABR閾値を調べるする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
振動子の作製にかかる金額が予定よりも少なく、物品費が低く抑えられた。コロナのため学会のWeb開催などもあり学会出張費が抑えられた。また健聴対象者の測定を、患者との接触を減らすため限られた検査時間内で行ったため最小限の人数でとどまったことも一因。
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