研究課題/領域番号 |
19K09874
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森本 千裕 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70445071)
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研究分担者 |
西村 忠己 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60364072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 軟骨伝導補聴器 / 軟骨伝導ABR / ABR / 自覚聴取閾値 / 小児難聴 / 純音聴力検査 |
研究実績の概要 |
2017年11月より国内で販売が開始された軟骨伝導補聴器は、小児を含む外耳道閉鎖症の装用者が着実に増加している。補聴器の調整には正確な装用閾値の評価が必要であるが、小児例では軟骨伝導補聴器の装用閾値の測定が困難な例が少なくない。本研究ではそのような自覚的聴力検査が困難である例における軟骨伝導補聴器の調整の評価などで、聴性脳幹反応(Auditory brainstem response :ABR)を用いる方法の確立を目的している。 【2019年-2020年】まず検査で用いる軟骨伝導振動子を作製し、ABRで軟骨伝導閾値を測定する際に使用する刺激音を作製した。この刺激音を使用して、健聴者11名に対して軟骨伝導振動子を用いたABRおよび純音聴力検査、クリック音の自覚聴取閾値の測定を行った。解析の結果、ABR閾値と自覚聴取の閾値の差は、軟骨伝導で約18dB、 気導で約8dBと、軟骨伝導閾値のほうが両者の差が大きかった。このことには、軟骨伝導の増幅効果の周波数特性が関与していると考えられた。 【2021-2023年度】2021-2022年は難聴者における軟骨伝導ABRの聴力閾値のデータを収集・分析を行う。健聴者の結果で基準値を設定し、軟骨伝導補聴器を装用している外耳道閉鎖症例で検査を行った。2022-2023年度は外耳道閉鎖症の成人症例に対する検査を10例を行うことが出来た。外耳道閉鎖症例においても軟骨伝導振動子を用いるとよく聞こえる症例と聞こえにくい症例が存在し、その原因もCT画像検査などを用いて検討する予定である。外耳道閉鎖症例における音場における軟骨伝導補聴器の装用閾値と、軟骨伝導振動子を用いたABR閾値の比較を行い、軟骨伝導振動子を用いたABRが軟骨伝導補聴器のフィッティングに有効であるかどうか評価を行うことを目的としており、本検査の結果は日本聴覚医学会で報告を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 軟骨伝導振動子を用いたABRや純音聴力検査の設定を行い、健聴者および外耳道閉鎖症例での検査を予定通り終了した。健聴者での検査で基準値の設定を行い、その結果を元に外耳道閉鎖症例の検査を行うことが出来た。 現在予定していた外耳道閉鎖症例での検査が終了しその結果の解析を行っており、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は外耳道閉鎖症例における検査結果の解析を行っている。最終的には軟骨伝導振動子を用いたABR閾値が測定できること、その結果を軟骨伝導補聴器の調整に活用することが出来るかどうかを判定し、実際の軟骨伝導補聴器フィッティングの現場にフィードバックすることを予定する。外耳道閉鎖症例における検査結果の報告を、本年度の日本聴覚医学会で行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成には至っておらず、次年度に論文作成のための文章校正費として計上する予定である。
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