| 研究実績の概要 |
1) 一次治療として導入化学療法後根治手術を施行した局所進行舌癌32例を対象に，健側頸部リンパ節転移(contralateral lymph node metastasis: CLNM)の出現規定因子，および全生存率（OS）と無病生存率(DFS)の予後規定因子を検討した。多変量解析の結果，CLNMの独立規定因子はmidline involvement (OR=23.100, P=0.017)およびperineural invasion (PNI, OR=14.96, P=0.014)であった。OSではCLNM (HR=5.154, P=0.031) とPNI (HR=5.623, P=0.033)が，DFSではCLNM (HR=3.359, P=0.038)が各々の独立予後不良因子であった。
2) 局所早期咽喉頭癌に対する経口切除術において治療施設類型（大学病院/academic hospital: AH vs一般病院/community hospital: CH）が治療内容および成績に及ぼす影響を比較検討した。対象の下咽頭・声門上・中咽頭（側壁を除く）癌109例の内訳はAH群70例：CH群39例。年齢と下咽頭癌RT歴はCH群で有意に高く，重複癌はAH群で有意に高かった。初回頸部郭清(ND)施行率はAH群で有意に高い一方，ND同日施行率はCH群で高い傾向を示した。後発性頸部LN転移例はCH群で有意に高かった。治療成績の多変量解析の結果，独立予後因子は下咽頭癌RT歴（p＜0.001, HR=16.16）のみで，DSS, OS, LCPR（喉頭制御温存率），LEDFS（喉頭食道機能温存生存率）のいずれにも群間差を認めなかった。以上より，治療施設類型は患者背景・疾患分布・手術スケジュール・術後管理に差異を生じ得る一方，治療成績への影響は交絡因子にとどまる可能性が示唆された。
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