研究課題/領域番号 |
19K09881
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
南 修司郎 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (00399544)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 聴覚機能的結合 / 安静時fMRI |
研究実績の概要 |
これまで私たちは、聴覚関連領域の機能的結合に注目し、耳鳴の客観的診断が感度86%、特異度74%で可能であったことを報告した。しかしながら、特に難聴性耳鳴の場合、コントロール群より高齢であることが多く、聴覚関連領域機能的結合の加齢性変化を明らかにする必要があった。そこで今回、Human Connectome Project(HCP)のデータベースを用い、聴覚関連領域機能的結合の加齢性変化について検討を行った。HCPデータベースからHCP Lifespan Pilot projectの5つの年代から27人(8-9歳6人:男3女3、14-15歳6人:男1女5、25-35歳5人:男2女3、45-55歳5人:男3女2、65-75歳5人:男3女2)のMRI構造画像(T1w)と安静時fMRI画像を用いて解析を行った。3.0テスラのMRI機器で、構造画像(T1w)はボクセル単位0.8mmの解像度で撮像され、安静時fMRIは開眼凝視しない状態でボクセル単位2mm、Multi-band 8、TR720msで撮像されている。Matlab上の画像解析ソフトウェアSPM version 12と機能的結合解析ソフトウェアCONN toolbox version18を用いて安静時fMRI解析を行った。聴覚関連領域として、Heschl’s gyrus、planum temporale、planum polare、operculum、insular cortex、superior temporal gyrusを関心領域(ROI)に設定した。FDR(False Discovery Rate)でp値0.05以下を有意な機能的結合とし、機能的結合それぞれの相関係数からフィッシャーのZ変換した値を機能的結合値(ベータ値)とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5つの年代から27人(8-9歳6人:男3女3、14-15歳6人:男1女5、25-35歳5人:男2女3、45-55歳5人:男3女2、65-75歳5人:男3女2)のMRI構造画像(T1w)と安静時fMRI画像を用いて解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
聴覚疾患(感音難聴、耳鳴、聴覚情報処理障害)を対象に聴覚関連領域脳機能的結合と中枢聴覚伝導路ミエリン量を測定し、コントロールとのカットオフを策定する。 MRI聴覚中枢ターゲット解析による聴覚疾患の人工内耳予後予測 3次元解剖学的画像(3D fast gradient echo 法)と安静時機能的画像(gradient echo - echo planar imaging法、TR=2500ms、Matrix size = 3.44×3.44、スライス厚=4mm、スライス数=34)を撮像する。MRI 構造画像(T1・T2強調)より聴覚中枢ミエリン量と、安静時fMRI画像より聴覚関連領域の脳機能的結合値を測定する。解析に は、Matlab上の画像解析ソフトウェアSPM version 12と機能的結合解析ソフトウェア CONN toolbox version18、およびFreeSurferソフトウェアを用いる。聴覚関連領域として、 Heschl’s gyrus、planum temporale、planum polare、operculum、insular cortex、superior temporal gyrusを関心領域に設定する。人工内耳手術6ヶ月後と12ヶ月後にそれぞれ装用閾値と装用語音明瞭度検査を行う。前述のMRI聴覚中枢ターゲット解析結果と、人工内耳装用効果とを比較し、MRI聴覚中枢ターゲット解析から人工内耳の予後を推定する。聴覚生理検査は生理検査技師が行い、人工内耳適合検査は言語聴覚士が行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の論文である「Age-related change in auditory functional connectivity in Human Connectome Project data and tinnitus patients」がOpen Access Article PublicationのLaryngoscope Investigative Otolaryngologyに受理され、その支払いのため300,000円を前倒し支払い請求を行い、実際の論文投稿料が222,634円であったため、その差額が次年度使用額となった。
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