研究課題
・北海道大学病院中咽頭扁平上皮癌症例における根治治療施行後に生じた遠隔転移について検討を行った。305例中15例(4.9%)に遠隔転移を認めた。15例のうちHPV陽性が6例、陰性が9例であった。海外の報告においても遠隔転移の生じる割合はHPV陽性例と陰性例の間で差がなかったことが報告されており、当科症例においても同様の結果となった。本結果については国際学会発表、英文誌への投稿準備中である。・中咽頭扁平上皮癌の治療において化学放射線治療が行われることが多いが、治療成績の向上のためには治療中の有害事象に注意する必要がある。中咽頭癌、下咽頭癌症例にてシスプラチンを同時併用する化学放射線療法施行症例において、ω3系脂肪酸高配合栄養機能食品の口腔粘膜炎と栄養障害に対する有用性の検討を行った。ω3系脂肪酸高配合栄養機能食品投与群は対照群と比べ体重減少率の改善、口腔粘膜炎の改善を認め、体重減少や口腔粘膜炎の改善に寄与する可能性が示唆された。本結果については日本語論文にまとめ採択された。・化学放射線治療はシスプラチンを同時併用することが標準的であるが、併存疾患等にてシスプラチン投与が困難な場合はカルボプラチンやEGFR阻害薬であるセツキシマブを併用することがある。カルボプラチンおよびセツキシマブ併用の放射線治療を行った症例について検討を行った。有害事象のプロファイルは併用薬剤で異なるが管理可能であり、放射線単独よりは有用であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
北海道大学病院中咽頭扁平上皮癌症例における根治治療施行後に生じた遠隔転移について検討を行った。次年度以降HPV関連中咽頭癌症例の予後因子について解析を進めてゆく。
本研究をさらに進めてゆき結果を公表するとともに、新たに生じた課題について検討を行ってゆく。
実験に用いる試薬等について、所属機関の在庫を使用することができ、物品購入費用がほとんど発生しなかったことによる。来年度は当該研究費で追加購入し、さらに実験を進めていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 図書 (1件)
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