中咽頭扁平上皮癌症例においてp16陽性例はp16陰性例と比較して有意にSchlafen family member 11(SLFN11)陽性の割合が有意に高かった。HPV感染がSLFN11の高発現に関与している可能性や治療感受性にSLFN11が関与している可能性が示された。 頭頸部扁平上皮癌症例においてSLFN11陽性例は陰性例と比較して有意に良好な全生存期間と無増悪生存期間を認めた。 北海道大学病院中咽頭扁平上皮癌症例における根治治療施行後に生じた遠隔転移について検討を行った。305例中15例(4.9%)に遠隔転移を認めた。15例のうちHPV陽性が6例、陰性が9例であった。海外の報告においても遠隔転移の生じる割合はHPV陽性例と陰性例の間で差がなかったことが報告されており、当科症例においても同様の結果となった。 中咽頭扁平上皮癌の治療において化学放射線治療が行われることが多いが、治療成績の向上のためには治療中の有害事象に注意する必要がある。中咽頭癌、下咽頭癌症例にてシスプラチンを同時併用する化学放射線療法施行症例において、ω3系脂肪酸高配合栄養機能食品の口腔粘膜炎と栄養障害に対する有用性の検討を行った。ω3系脂肪酸高配合栄養機能食品投与群は対照群と比べ体重減少率の改善、口腔粘膜炎の改善を認め、体重減少や口腔粘膜炎の改善に寄与する可能性が示唆された。 化学放射線治療はシスプラチンを同時併用することが標準的であるが、併存疾患等にてシスプラチン投与が困難な場合はカルボプラチンやEGFR阻害薬であるセツキシマブを併用することがある。カルボプラチンおよびセツキシマブ併用の放射線治療を行った症例について検討を行った。有害事象のプロファイルは併用薬剤で異なるが管理可能であり、放射線単独よりは有用であると考えられた。
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