研究課題/領域番号 |
19K09885
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮川 麻衣子 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (60467165)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難聴 / 遺伝子 / 次世代シークエンサー / 人工内耳 |
研究実績の概要 |
人工内耳や残存聴力活用型人工内耳(EAS)は30dB程度の聴取閾値を得ることができる非常に優れた治療法であるが、その装用効果は個人差が大きいことも報告されている。聴取能に個人差をもたらす要因としては、難聴発見時期、補聴器装用開始年齢、人工内耳装用開始時年齢、発達障害の有無、療育環境、コミュニケーションモードなどの様々な要因の関与が報告されているが、難聴の原因の違いも装用効果に個人差をもたらす大きな要因であると考えられている。 本研究では人工内耳や残存聴力活用型人工内耳を装用している、先天性・遅発性感音難聴症例を対象に次世代シークエンサーを用いた既知難聴原因遺伝子の網羅的解析を行い難聴の原因を明らかにするとともに、原因ごとの臨床的特徴(難聴の発症時期、進行速度など)を明らかにし、原因に基づいて人工内耳の効果を予測することを目的とした。 本年度は前年度までに引き続き、人工内耳装用患者の遺伝子解析を進めるとともに、難聴の原因遺伝子別に人工内耳装用効果の分析を行った。その結果、GJB2遺伝子、SLC26A4遺伝子、CDH23遺伝子、MYO7A遺伝子、MYO15A遺伝子、OTOF遺伝子、LOXHD1遺伝子、ACTG1遺伝子、TMPRSS3遺伝子、COCH遺伝子変異による難聴症例では人工内耳装用後の聴取成績が良好であることを明らかにした。また、比較的頻度の高い難聴の原因遺伝子に関して検討を行い、難聴の自然経過(聴力の進行)に関して明らかにすることができた。得られた情報は、原因別の治療法選択や個別化医療に資するものであり、次年度以降にさらに症例数を増やしてエビデンスを確立する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り人工内耳装用患者、残存聴力活用型人工内耳装用患者の遺伝子解析を進め、臨床像の収集、分析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究を継続して実施し、人工内耳装用患者の原因遺伝子を網羅的に解析し原因を明らかにするとともに、原因ごとの臨床像(難聴の型、程度、進行性)を明らかにする。原因ごとの人工内耳による効果の相関を明らかにする。また、結果を取りまとめて論文として報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により当初の予定と比較して新規の遺伝子解析研究参加者が減少したため、本年度は既存データの分析を中心に実施したため次年度使用額が生じた。どの後、研究参加者数は回復してきており、次年度に遺伝子解析に使用する予定である。
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