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2019 年度 実施状況報告書

傷害声帯の修復過程における上皮間葉移行の役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K09888
研究機関京都大学

研究代表者

北村 守正  京都大学, 医学研究科, 講師 (60543262)

研究分担者 末廣 篤  京都大学, 医学研究科, 助教 (00738247)
楯谷 智子  京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10512311)
樋渡 直  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10808778)
楯谷 一郎  藤田医科大学, 医学研究科, 教授 (20526363)
岸本 曜  京都大学, 医学研究科, 助教 (80700517)
菊地 正弘  京都大学, 医学研究科, 助教 (90443564)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード傷害声帯 / 上皮間葉移行 / トランスジェニックマウス
研究実績の概要

K5Cre系統とCAG-td Tomato系統をかけ合わした遺伝子組み換えマウスにおいて、内視鏡下に声帯を自作のピックを用いて損傷を行った。損傷後1、3、5、14日の4つのタイムポイントにて喉頭を採取し、7 μmの厚さで冠状断切片を作成、粘膜固有層の細胞を免疫染色にて評価した。免疫染色には、上皮マーカーであるE-cadherin染色と、間葉マーカーであるVimentin染色を用いた。上皮間葉移行細胞の定義として、1:粘膜固有層に存在すること、2:Tomato陽性の細胞であること、3:E-cadherin陰性であること、4:Vimentin陽性であること の4つの条件を全て満たすものとした。
損傷14 日後の組織で5-6切片に1細胞の割合で上記4つの条件を満たす細胞を確認し、上皮間葉移行が損傷後の声帯でも起こりうることを確認することができた。しかし、上皮間葉移行を起こす細胞は総数が少ないため、目的細胞を検出する技術を改善する必要があると考えられた。切片の厚みを7 μmから20 μmに増やし、コンフォーカル(共焦点)顕微鏡により高解像度で観察することで、1切片あたりに観察できる細胞数を増加させた。また、観察される上皮間葉移行細胞を増やすため、声帯損傷手技の熟練により、損傷後の声帯上皮に、より高度の炎症を安定して得られるようにした。一方で、あまりに高度な炎症を惹起させると、喉頭浮腫による気道閉塞でマウスが死亡してしまうことがある。そのため、声帯においては与えられる炎症の程度に限界があり、他臓器において報告されている組織修復時の上皮間葉移行に比べ、発生数が少ない原因の一つと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Yamashitaらが報告した方法で声帯創傷治癒モデルを作成し、創傷治癒の急性期、増殖期、慢性期の喉頭を採取している。観察される上皮間葉移行細胞を増やすため、声帯損傷手技の熟練により、損傷後の声帯上皮に、より高度の炎症を安定して得られるようにした。

今後の研究の推進方策

声帯損傷後14日以降の長期経過した声帯でも上皮間葉移行細胞がどの程度増減しているのか評価を計画している。さらに、K5Cre×CAG-td Tomato系統のマウスにⅠ型コラーゲン産生細胞がGFPで標識されるCol1a1GFP系統のマウスとかけ合わせることで、上皮間葉移行細胞のコラーゲン産生がどの程度持続するのかについて評価予定である。
Thibeaultらの方法に準じて声帯組織片の培養を行なう。同培養方法により粘膜固有層の線維芽細胞が選択的に培養できることが知られているが、このようにして得られた線維芽細胞の中から上皮由来の細胞を選択抽出するため、細胞数が充分に達したところでセルソーターにて蛍光タンパク陽性細胞を分離し抽出する。このようにして得られた上皮由来細胞を再度培養し、上皮由来の線維芽細胞群、それ以外の線維芽細胞群にわけて再度培養を行なう。
上皮由来の線維芽細胞群、それ以外の線維芽細胞群から得られたmRNAをqRT-PCRにかけることで、細胞外基質産生能や成長因子産生能といった声帯の恒常性維持に重要な物質の産生量を遺伝子レベルで解析する。

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公開日: 2021-01-27  

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