研究課題
好酸球性副鼻腔炎における嗅覚障害は嗅裂に多く発生するポリープによって生じると従来考えてこられた。しかし実際には篩骨洞のみにポリープが存在しても嗅覚障害が生じることがある。また嗅覚ポリープが多くあっても、経口ステロイド薬を短期的に内服することで、嗅覚障害が改善することがある。このことはポリープのボリュームだけではなく、ポリープ中の2型炎症の重症度も嗅覚障害に影響を与えていることを示唆している。我々は臨床面においては手術前に嗅覚検査と嗅覚に関する自覚症状スコアをつけ、ポリープサイズと嗅覚障害の相関について検討を行っている。また基礎研究面ではポリープ中の2型炎症の程度が嗅覚障害を反映している可能性が高いと考えて、好酸球性副鼻腔炎における2型炎症の病態解析を中心に行っている。具体的にはセマフォリンと好酸球の脱顆粒を伴う細胞死、2型自然リンパ球に着目して研究を行っている。セマフォリンファミリーのひとつが脱顆粒を伴う細胞死を起こすことで好酸球性副鼻腔炎の重症化に寄与し、嗅覚障害も生じるというストーリーで研究を進めている。これまでに嗅上皮の分布する中鼻甲介について、ECRSとコントロール(非好酸球性副鼻腔炎)について網羅的に遺伝子発現を検討した。嗅上皮の分布する中鼻甲介に ついて、ECRSとコントロール(非好酸球性副鼻腔炎)について網羅的に遺伝子発現を検討した。その結果、BMP(bone morphogenetic protein)ファミリーの一つが発現増強をしていることを見出した。
4: 遅れている
コロナ禍で手術数が減り、手術検体の収集に時間を要している
手術数も徐々に回復しており、検体が集まり次第、鼻ポリープを利用した基礎研究を進めていきたい。
コロナ禍のため手術検体が集まりにくく、基礎研究の進行が遅れているため。
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