研究課題
従来、好酸球性副鼻腔炎における嗅覚障害は、嗅裂に発生するポリープによって引き起こされると考えられてきた。しかし、実際にはポリープのない副鼻腔炎(CRSsNP)、つまり篩骨洞にのみポリープが存在している症例でも、嗅覚障害が生じることが知られてきた。また、嗅覚ポリープが多発しているような症例でも、短期的に経口ステロイド薬を内服することで、ポリープが残っていても嗅覚障害が改善することがある。これは、ポリープのボリュームだけではなく、ポリープ中の2型炎症の重症度も嗅覚障害に影響を与えていることを示唆している。当院では、手術前に嗅覚検査と嗅覚に関する自覚症状スコアを記録し、ポリープサイズと嗅覚障害の相関を検討したが、相関関係は認めなかった。一方で好酸球性副鼻腔炎の再発症例で中鼻甲介の切除後に嗅覚が改善する症例が多くあることに着目し、中鼻甲介粘膜における病態の原因遺伝子を探索した。その結果、BMP(bone morphogenetic protein)ファミリーの一つが発現増強を示していることがわかった。再発症例では中鼻甲介骨も肥厚している症例が多く、BMPを介した2型炎症と骨増殖について検討中である。また他にキーとなる遺伝子が組織リモデリングと関連あると考えられるため、こちらも解析中である。またセマフォリンと好酸球の脱顆粒を伴う細胞死、2型自然リンパ球に着目して研究を行った。セマフォリンファミリーの一つが脱顆粒を伴う細胞死を引き起こすことで、好酸球性副鼻腔炎の重症化に寄与し、嗅覚障害も生じるというストーリーで研究を進めた。
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