研究課題/領域番号 |
19K09895
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐野 大佑 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10620990)
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研究分担者 |
波多野 孝 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40807583)
折舘 伸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90312355)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HPV関連中咽頭癌 / スーパーエンハンサー / 遺伝子発現制御 |
研究実績の概要 |
本研究は,HPV関連中咽頭発癌機構における,スーパーエンハンサーを介した遺伝子発現 制御の詳細を明らかにするために以下の研究を行う。1.ChIP-seqによる HPV関連中咽頭癌細胞におけるスーパーエンハンサーの同定,2.スーパーエンハンサーにより発現制御される遺伝子の機能解析,3.スーパーエンハンサー阻害剤,ならびにスーパーエンハンサー領域を欠失させた際の影響
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度はHPV関連頭頸部癌細胞株を用いて,スーパーエンハンサーの構成因子に対する抗体によるChIP-seqを行い,HPV関連中咽頭癌細胞におけるスーパーエンハンサーの局在を調べる予定であったが,ChIP-seqを行うための準備に時間を要している。そのため,本課題で行う予定であったアプローチではなく,Open databaseを用いたバイオインフォマティクスのアプローチにより,HPV関連中咽頭癌の発がん機構の調節を担っている遺伝子同定(遺伝子X)を試みている。更に,HPV関連中咽頭癌の進展と癌周囲の微小環境との関係について,特にHPV関連中咽頭癌の進展における,がん微小環境における交感神経の関与についての解明を試みるアプローチも行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように同定されたX遺伝子について,臨床検体における発現,細胞株におけるX遺伝子の発現抑制,ならびに強制発現による影響の検討を行う。まずCRISPR/Cas9法にて,X遺伝子をknockoutしたHPV関連頭頸部癌細胞株を作製し,細胞増殖能,遊走能,アポトーシスについてコントロール細胞株と比較検討する。続いてCRISPR/Cas9法にて,X遺伝子をknock-inしたHPV 関連頭頸部癌細胞株を作製し,同様に細胞増殖能,遊走能,アポトーシスについてコントロール細胞株と比較検討する。さらに当施設で手術加療を施した頭頸部癌患者の検体におけるX遺伝子がコードするタンパク発現の免疫組織学的評価をし,全生存期間との相関について調べる。続いてスーパーエンハンサーの不活化による影響の検討を,スーパーエンハンサーを構成するBETファミリー蛋白を阻害する薬剤を用いることでX蛋白発現と細胞増殖能,遊走能,アポトーシスへの影響を調べる。さらにX遺伝子上流に存在するスーパーエンハンサー領域にガイドRNAを設計したCRISPR/Cas9法により,HPV関連頭頸部癌細胞におけるスーパーエンハンサーを欠失させ,その際のX遺伝子発現,細胞増殖能,遊走能,アポトーシスへの影響について調べる。HPV関連中咽頭癌の進展における,がん微小環境における交感神経の関与についての解明には,まず当院で根治手術をうけたHPV関連中咽頭癌患者における神経密度と予後との関連を解析する。更に,HPV関連頭頸部癌細胞株と神経細胞を共培養することで,神経線維の増殖と交感神経への分化転換が観察されるかを検討する。続いてHPV関連頭頸部癌細胞株から放出される細胞外小胞に含まれる神経新生を促進するマイクロRNAを同定することで,HPV関連中咽頭癌が周囲の神経の増殖と交感神経への分化転換を引き起こす機序解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により現地への出張が減ったため,また当初予定した解析が行われなかったため次年度使用額が生じた。 使用計画:次年度使用額は令和3年度に行う予定であった実験を令和4年度に行うための物品費用,並びに出張費用にあてる。
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