研究課題/領域番号 |
19K09896
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
稲垣 彰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70405166)
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研究分担者 |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20326135)
山村 寿男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80398362)
関谷 真二 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50770591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カルシウム感知受容体 / 内耳 / 蝸牛 |
研究実績の概要 |
カルシウム感知受容体(calcium sensing receptor, CaSR)の内耳における機能解析を目的とした研究であり、そのため、引き続き、遺伝子の機能解析にとって強力な手法であるノックアウトマウスの作成を試みている。CaSRのノックアウトによりカルシウムの代謝異常のため、体制致死になるという既報告に基づき、機能解析には副甲状腺ホルモンも同時にノックアウトするダブルノックアウトマウスを、Crisper技術を用いて作成を試みている。しかし、ダブルノックアウトマウスの作成には困難があり、現在もまだ、解析に利用可能なマウスは得られていない。 このような経過から、同時に以前我々のグループが発表した薬理学的な方法による機能低下についても検討を行っている。以前の報告では、ラット内耳にCaSRの拮抗薬を注入することで聴力への影響が観察された(Minakata T, Inagaki A et al., Front Mol Neurosci. 2019)。これは内リンパ液で低く抑えられるカルシウムイオンの濃度調節が聴力において強い影響を持つこと示すデータであるが、次の段階を見据え、本知見のさらなる臨床応用を目指して、鼓室内にCaSRの拮抗薬と同様にベンゼン環を有するステロイド剤(プレドニゾロン)投与し組織移行性を検討する臨床試験法に基づく臨床研究を立案し、実施した。タンデムマススペック法を用いた移行濃度の測定の予備実験では組織移行性について良好な結果を示唆する結果が得られ、現在結果の詳細な解析、統計処理などを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機能解析には副甲状腺ホルモンも同時にノックアウトするダブルノックアウトマウスを、Crisper技術を用いて作成を試みている。しかし、Crisper技術を用いた遺伝子操作では、シングルノックアウトでは安定した結果が得られているもののダブルノックアウトマウスの作成には困難があり、現在もまだ、解析に利用可能なマウスは得られていない。バックアップのための組織内薬剤投与法では予備実験にて良好な成績が得られたが、結果の詳細な解析は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、動物実験センターとの共同研究によって遺伝子組み換え実験については支援を得ているが、さらに他の研究施設の支援を得ることを検討する。バックアップ実験としての薬理学的実験の結果解析についても、統計学など結果解析に通暁する研究員の支援を受けることで、研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
外注の結果解析に想定外に時間を要し、研究の遅延が生じ、次年度の使用額が生じた。
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