研究課題/領域番号 |
19K09897
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 敏彰 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (90271204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | めまい / 平衡障害 / 重心動揺検査 / 姿勢歩行障害 |
研究実績の概要 |
本研究では、前庭機能障害者の体平衡機能や転倒の危険性を知るために、身体が傾く方向と大きさを検出する、2方位重心動揺テスト(仮称)を開発することを目的にしている。 本年度は、身体中心を左右の足底基底面へシフトさせたときの左右下肢の足圧中心動揺を測定して身体偏倚の定量化を試みた。 直立姿勢で,足位は足底内側を10cm離した平行開脚,両上肢は体側下垂位とした。開眼と閉眼で前後左右の2方位に姿勢をシフトさせた。各2方位における重心(足圧中心)の動揺を10秒間ずつ重心動揺計(G-5500,アニマ社,東京)を用いて測定した。めまい疾患群別の4方位重心動揺の実効面積と軌跡長の左右比を求めた。左右比=非優位側の値/優位側の値 とし,① 0~0.33 ② 0.33~0.67 ③ 0.67~1の3群に分類して,末梢性めまい疾患群とその他のめまい疾患群における①②③の割合を求めた。 末梢性めまいとそれ以外の疾患群とを比較すると,左右比0.67未満の症例は末梢性に多く,0.33未満を示す症例は末梢性めまい疾患のみに認められた。このことから,動揺左右比が高値を示す場合には末梢性めまい疾患である可能性が高いと示唆される結果が得られた。 本年度の研究結果により、末梢めまい疾患においては、左右2方位における体平衡の偏倚方向を検出し,身体の偏倚側を客観的に評価できる可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象の収集が不十分で、検査実施に支障が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
健常者に関しても施行し、2方位それぞれの動揺から左右下肢での動揺のcut-off値を求めて、正常域値を設定する。そのことによって前庭障害者における身体動揺の偏倚の方向とその程度を閉脚直立(ロンベルグ)検査と継足直立(マン)検査の偏倚方向と比較し、偏倚する方向が一致性するか明らかにする。さらに偏倚方向での動揺(動揺速度と実効値面積)量から、本検査法が、実際に身体の偏倚性をどれくらい検出できるか、そして前庭脊髄運動系の機能左右差をどれくらい検出できるかを明らかにし、今後、めまい平衡障害に対する有用な診断ツールとして汎用されるかどうかを検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者のが想定より少なかったため、データ解析や保存のためのメディアや資料の購入が減少したため。次年度には対象者を増やし、その分の備品購入と合わせて使用する。
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