研究課題/領域番号 |
19K09897
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 敏彰 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (90271204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | めまい / 平衡障害 / 重心動揺 / 偏倚 |
研究実績の概要 |
体平衡障害の客観的評価を行うことを目的に、身体が傾く方向とその大きさを数値化して定量化できる新規検査方法(側方位重心シフト検査)を考案し、その有用性について検討した。 前年度および前々年度に引き続き、左右方向へ姿勢をシフトさせたときの身体偏倚性の数値化を試みた。足底の内側縁を10cm離した平行開脚の足位で直立し、非シフト側の足底を遊離させずにシフト側の足底へ可及的に重心を移動させ、左右下肢の足圧中心の動揺(実効値面積)を開眼と閉眼で10秒間測定した。 めまい・平衡障害症例を対象に、本検査における動揺優位側と両脚直立(ロンベルグ)検査における左右方位の優位側との関係やシフト偏位量(左右比)について 健常者と比較した。 末梢性めまい症例(46例)おいて、側方位重心シフト検査の動揺優位側とロンベルグ検査の偏倚側は有意に一致して高い関連性(χ2:P<0.05)を示した。一致した例(81.8%)で検討すると、動揺(実効値面積)の左右比は、末梢性めまいのほうが健常者に比べて低値を示す症例が多い傾向にあった。左右比定量値は、末梢性めまいで0.53±0.27 健常者で0.65±0.20となり、健常者に比較して末梢性めまい症例で有意に低く偏倚量が大きくなることが示された 本年度の研究において、末梢性めまい症例では、左右2方位における動揺優位側が実際の身体偏倚側と一致する傾向にあり、しかも動揺左右比が健常者に比べて低値であったことから、2方位重心シフト検査は、体平衡偏倚を検出して障害程度を定量・数値化できる可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度に停滞していた対象収集を積み重ねることができたため、研究の進捗に大きな支障が生じなかった。
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今後の研究の推進方策 |
側方位重心シフト検査において、左右方位おける動揺量の左右差から偏位性を分析する。 健常者のデータ収集を重ねて、正常域を設定し、偏位量の異常を臨床的に判定できるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象が想定より少なくなりデータ解析のためのソフトや資料の購入が減少したことと予定していた国内学会や国際学会が休止、延長になったことから、発表報告が少なくなったため、次年度には学会報告の機会を増やし、資料購入と合わせて、次年度使用金額を使用する予定である。
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