内耳蝸牛の外側壁細胞群は、正常な聴力の維持に必須の役割を担っている。本研究では、外側壁細胞群の中でも中間細胞に焦点をあてて研究を開始した。外側壁組織培養中の中間細胞の経時的な形態変化を観察した結果、中間細胞は蝸牛内の物質輸送以外にも多彩な機能を有している可能性が示唆された。メラノサイト増殖因子群とサプリメントとして市販されている抗酸化剤が、中間細胞の酸化ストレスや加齢に伴う生存率減少軽減効果を有している可能性が示唆された。現在、歯周組織再生剤として臨床応用されている線維芽細胞成長因子(FGF2)に、外側壁組織の細胞増殖効果を認めた。FGF2が耳科分野にも応用可能であることを示唆する知見である。
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