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2021 年度 実施状況報告書

遺伝性難聴における前庭機能の網羅的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K09905
研究機関信州大学

研究代表者

塚田 景大  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (90419375)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード遺伝性難聴 / 半規管機能 / 球形嚢機能 / 卵形嚢機能 / GJB2 / SLC26A4 / CDH23
研究実績の概要

2021年度は、遺伝性難聴患者を含む人工内耳適応症例(高度~重度難聴患者)における前庭機能について検討を行った。人工内耳適応症例66例について前庭機能を検索した。温度刺激検査(カロリックテスト)、前庭誘発筋電位検査(cVEMP,oVEMP)を行い、それぞれ半規管機能、球形嚢機能および卵形嚢機能について推定した。手術前の前庭機能については、温度刺激検査では30.8%、cVEMPで37.9%、oVEMPで33.3%の症例で機能異常を認め、およそ30~40%程度の症例に何らかの前庭機能障害を認める結果となり、人工内耳適応症例となる高度~重度難聴患者の比較的多くの症例で平衡機能障害があることが明らかとなった。
また前年度に引き続き、日本人の遺伝性難聴の原因遺伝子として最も頻度が高いとされるGJB2遺伝子変異症例、SLC26A4遺伝子変異症例、CDH23遺伝子の変異をもつ非症候群性難聴症例の平衡機能の特徴について比較検討をさらに症例を重ねて行った。39例の遺伝性難聴患者(GJB2 13例、SLC26A4 15例、CDH23 19例)について検討し、これらの遺伝性難聴患者のうち33%の症例はめまい症状を有し、その多くがSLC26A4遺伝子変異症例であった(SLC26A4遺伝子変異患者15例中11例、73%)
GJB2遺伝子変異を持つ症例は球形嚢機能障害を来す頻度が高く、SLC26A4遺伝子変異症例は他の遺伝子と比較し半規管および卵形嚢機能障害を来す頻度が高い傾向を示した。CDH23遺伝子変異に関しては、ミスセンス変異による非症候群性難聴症例について検討を行ったが、平衡機能障害を来す頻度は低かったが、年齢の上昇によって軽度の機能障害が出る可能性が示唆された。これらの結果から遺伝子変異を持つ難聴患者においては難聴という表現型以外にも何らかの平衡機能障害が出現することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、対象症例の検査が困難であったため、想定していた症例数より検査数が少なく、解析が困難であった。

今後の研究の推進方策

2022年度は、集積したデータをより詳しく解析し、各遺伝子の平衡機能の特徴をより明確にした上で、学会および学術誌に発表予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で実験計画に遅れが生じ、次年度に使用額が生じた。
次年度使用額は当初の予定通り、消耗品や論文投稿費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Vestibular Preservation After Cochlear Implantation Using the Round Window Approach2021

    • 著者名/発表者名
      Tsukada Keita、Usami Shin-ichi
    • 雑誌名

      Frontiers in Neurology

      巻: 12 ページ: 656592

    • DOI

      10.3389/fneur.2021.656592

  • [雑誌論文] Vestibular nerve deficiency and vestibular function in children with unilateral hearing loss caused by cochlear nerve deficiency2021

    • 著者名/発表者名
      Tsukada Keita、Usami Shin-ichi
    • 雑誌名

      Acta Oto-Laryngologica

      巻: 141 ページ: 835~840

    • DOI

      10.1080/00016489.2021.1959637

  • [学会発表] 人工内耳手術における低侵襲手術が前庭機能に及ぼす影響について2021

    • 著者名/発表者名
      塚田景大、宇佐美真一、工穣
    • 学会等名
      第80回日本めまい平衡医学会
  • [学会発表] 動的平衡機能障害と半規管、耳石器機能検査、DHIの関連性について2021

    • 著者名/発表者名
      森健太郎、塚田景大、謝佳一、工 穣
    • 学会等名
      第80回日本めまい平衡医学会
  • [学会発表] ムンプス難聴と平衡機能障害2021

    • 著者名/発表者名
      塚田景大、工 穣、宇佐美真一
    • 学会等名
      第122回日本耳鼻咽喉科学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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