聴神経腫瘍は、主に前庭神経のシュワン細胞から発生する神経鞘腫である。ほとんどは良性腫瘍であるが、難聴やめまい症状を引き起こし、増大すると小脳や脳幹を圧迫して死に至ることもある。今回我々は、手術で摘出された聴神経腫瘍の標本からDNAを抽出し、腫瘍の発生や抑制に関わる遺伝子について次世代シーケンサーを用いてターゲットシークエンスを行った。腫瘍はほとんどが内耳道に限局しており、最大径は15mmまでの小さい腫瘍を対象とした。これまでの聴神経腫瘍のゲノム解析の報告でみられている、NF2遺伝子の変異に加えて、SYNE1やその他多くの遺伝子変異が認められた。
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