研究課題/領域番号 |
19K09911
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松田 和徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (60721785)
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研究分担者 |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
佐藤 豪 徳島大学, 病院, 講師 (30464358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 前庭代償 / vestibular suppressants / 免疫組織化学 / 前庭神経核 / 自発眼振 |
研究実績の概要 |
免疫組織化学的手法による前庭代償の新しい評価法の確立 Wistar系雄ラット(約150g)を用いて、吸入麻酔下に手術用顕微鏡下に卵円窓から100%エタノールを注入し内耳破壊を行い、前庭代償モデル動物を作成した。 眼振は、内耳破壊術後30分で25-35(平均30.08±5.04)回/15秒と最大値となり、その後徐々に減少し、術後42時間で消失した。前庭代償の前期過程である、健側前庭神経核の活動性の抑制は、内耳破壊後の眼振数の経時的変化で評価できることが明らかとなった。 前庭代償モデル動物に経時的(内耳破壊後1~14日)にMK801(1.0mg/kg)を腹腔内投与し、脱代償を誘発し、MK801投与後2時間後に還流固定し、前庭神経核を含む脳幹を取り出し、免疫組織化学的手法を用いてFosを染色した。障害側前庭神経核におけるFos陽性ニューロン数をImage Jを用いて定量した。内耳破壊後にMK801投与後の脱代償にて誘導される健側前庭神経核のFos陽性ニューロン数は、内耳破壊術1日後に最大値となり、その後徐々に減少し、内耳破壊術14日後において、MK801投与2時間後には健側前庭神経核におけるFos陽性ニューロン数は正常コントロールラットおよびsham手術実施ラットとほぼ同程度となった。前庭代償の後期過程である、障害側健側前庭神経核の活動性の回復は、MK801投与により誘導される健側前庭神経核におけるFos陽性ニューロン数の減少の経時的変化で評価できることが明らかとなった。 以上の結果から、免疫組織化学的手法を用いた前庭代償の前期過程と後期過程を分離して評価できる新しい評価法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫組織化学的手法による前庭代償の前期過程と後期過程を分離して評価できる新しい評価法の確立できたことから、2020年度に実施予定のベンゾジアゼピン系薬剤が前庭代償に及ぼす影響の解明と前庭代償の前期過程を促進する薬剤の開発を実施する準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
ベンゾジアゼピン系薬剤が前庭代償に及ぼす影響の解明と前庭代償の前期過程を促進する薬剤の開発:前庭代償の前期過程のメカニズムが小脳片葉プルキンエ細胞による健側前庭神経核のGABA作動性抑制であることから、GABAA受容体作動薬であるDiazepamが、前庭代償の前期過程を促進する可能性が高いと予想している。本研究では、Diazepamが前庭代償の前期過程を促進するが、後期過程には影響しないことを明らかに、Diazepamがvestibular suppressantsではないことを科学的に証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が比較的順調に進んだため、実験動物と試薬・抗体に要する費用が予想より少なかったため。2020年度の研究では、ベンゾジアゼピン系薬剤であるDiazepam で研究が当初の計画通りに進まない可能性があり、その場合に他の薬剤を用いて研究を行うことから、実験動物と試薬・抗体に用いる予定である。
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