1.スギ抗原-ガラクトマンナン複合体を用いた経口免疫療法花粉症マウスモデルを用いた免疫寛容機序の解析と安全性の評価を行い、末梢リンパ節と腸管リンパ節でのT細胞の抗原特異的免疫応答の違いを明らかにした。またコントロール群と比較して免疫療法群において下痢や体重減少は認めず、スギ抗原-ガラクトマンナン複合体の経口投与による安全性を確認した。 2.Raw264. 7細胞を用い、スギ抗原ーガラクトマンナン複合体の取り込みとその細胞毒性について明らかにした。スギ抗原とスギ抗原-ガラクトマンナン複合体それぞれにFITCをラベリングし、その取り込みを確認した。培養後の細胞数では、スギ抗原-ガラクトマンナン複合体添加でコントロールと比較して細胞数の低下は認められず、細胞毒性がないことが確認された。 3.スギ抗原-ガラクトマンナン複合体の生体内での即時的な安全性を評価するためにアナフィラキシーショックマウスモデルの作成を行った。BALB/cマウスを用い、OVA /alumで抗原感作を行った後に腹腔内にOVA投与、最終投与後、短時間での直腸温の低下と回復を認め、アナフィラキシーショックモデルを確立した。 4.より短期間で経口免疫療法の効果を評価するため、経口免疫療法の予防効果と治療効果の短期モデルを作成した。BALB/cマウスを用い、予防効果モデルでは、感作前に2週間経口的に予防投与、治療効果モデルでは感作後に2週間経口的に治療投与、その後、OVAを鼻腔内投与して炎症を惹起させた。コントロールと比較してOVA群で血清中抗原特異的IgEの低下、BALFの好酸球性浸潤抑制、Th2サイトカインの低下が認められ、経口免疫療法の予防効果と治療効果モデルを確立した。またこの系を用いて新たに作成したOVA-マンナン複合体の経口免疫療法においてもOVAと比較してその効果と安全性を明らかにした。
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