研究課題/領域番号 |
19K09920
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岩井 大 関西医科大学, 医学部, 教授 (10232638)
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研究分担者 |
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10375298)
尹 泰貴 関西医科大学, 医学部, 助教 (60620755)
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70115947)
神田 晃 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70375244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 老人性難聴 / 抑制性T細胞 / インターロイキン1受容体2型 / 免疫若返り / 胎児胸腺移植 / リンパ球接種 / 一酸化窒素 / 蝸牛 |
研究実績の概要 |
人口高齢化で老人性難聴の罹患人口は増加しており、この難聴の予防法確立は急務、かつ、重要である。 今回の早期老化・老人性難聴モデルマウスを用いた研究は、ほぼ計画書通りに進んだ。報告者は、CD4+Tリンパ球のうち、抑制性Tリンパ球(Treg)とインターロイキン1受容体2型発現リンパ球(I1R2)とが加齢とともに増加して免疫機能低下や臓器萎縮などの加齢徴候に関与し、一方、これらの細胞以外の細胞分画(nTnI)は若齢で多く存在し、免疫老化や神経老化の予防に関与する可能性を見出している。そこで今回、臨床応用を目指し、若年時に採取・凍結保存したリンパ球を、このマウスが難聴を示す時期(5カ月齢)前から1.5カ月ごとに5回にわたって定期的に接種した。その結果、加齢性Tリンパ球機能低下と加齢性感音性難聴(老人性難聴)とが予防され(リンパ球分裂能検査、および、聴性脳幹反応)、また、このマウスで特徴的な加齢性らせん神経節萎縮も予防された(病理組織学的検査)。さらに、血清一酸化窒素の加齢性上昇がこのリンパ球接種で予防されたことから(nitric oxide assay)、老化で生じる炎症の遷延化(慢性炎症)にともなう酸化ストレスが、免疫若返りで予防されたものと考える。ただし、蝸牛内には、明らかなCD4+Tリンパ球の浸潤は認められなかったため(免疫組織学化学的検査)、接種されたリンパ球が蝸牛に至り、局所に作用するという機序は否定的と考えられた。また、このモデルにおいて内・外有毛細胞に加齢性萎縮は認められなかった(病理組織学化学的検査)。なお、最終年度は上記の蝸牛の病理組織学的・免疫組織学化学的検査と、各データの統計的整理を主に行った。 今後は臨床へ応用するために、老人性難聴モデルマウスとして、げっ歯類では最も一般的なC57BL6マウスや、さらに、より大型の哺乳類を用いて本予防法の有効性を示していく。
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