研究課題/領域番号 |
19K09923
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小林 謙也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (80648311)
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研究分担者 |
森 泰昌 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (00296708)
吉本 世一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (00462242)
安藤 瑞生 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60511467)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腫瘍内不均一性 / TP53 / 頭頸部扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
本研究は予後不良頭頸部扁平上皮癌の時間的・空間的な腫瘍内不均一性を解明することを目的としている。標準治療367例から抽出した局所頸部再発症63例の初回腫瘍及び再発腫瘍126検体のTP53、PIK3CA、AKT、HRASの変異ステータスを次世代シークエンサーにて時系列に解析した。TP53に関しては、フルカバレッジのディープシーケンスを施行した。 再発した腫瘍のうち、22%でTP53に新たな変異が蓄積し、16%が元の変異を失っていた。TP53変異の蓄積は、口腔癌では咽頭癌や喉頭癌に比べて有意に高かった(33%vs7%、p = 0.016)。PIK3AC、AKT、HRASは全例で初回変異を失っていた。 再発後の2年間の生存率は、再発時のTP53ステータスと関連していたが、初期腫瘍のTP53ステータスとは関連していなかった。再発腫瘍のTP53ステータスは、多変量解析において独立した危険因子であった(ハザード比、5.76;95%CI、1.86-17.8;p=0.0023)。 以上より、再発頭頚部扁平上皮癌の約3分の1は、初期腫瘍と異なるTP53ステータスであった。変異の蓄積は、原発部位によって異なっていた。再発腫瘍のTP53ステータスを詳細に解析することで、再発後の予後予測に有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は367例のコホートより局所再発予後不良症例63例を抽出し次世代シーケンサーによる変異解析を行った。TP53の全エクソン領域を詳細に解析するため、 24のアンプリコンを独自で作成し、depthを深く設定してTP53全エクソンシーケンスを実施した。FFPE検体はホルマリン固定によってDNAが断片化するため、核酸 検査には限界があると考えられている。そのため、アンプリコンサイズを小さくし、お互いを重複させるようにプライマーを設定する工夫を行った。また腫瘍含有率を少しでも高めるため、切片のマクロダイセクションを一枚一枚手動で行っており、時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノムの変化も含めた予後不良因子を解析を行い、初回腫瘍と再発腫瘍のゲノム変化が予後に及ぼす影響を明らかにする。現在はTP53、PIK3CA、AKT、HRASの 変異を解析したのみであるが、WESを施行し多数の遺伝子の変異の変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画が遅れ今年度施行できなかった研究を翌年度に送らせて施行する予定である。
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