研究実績の概要 |
2019年度、我々は光干渉断層血管撮影(OCTA)で一緒くたにされている、網膜動脈・静脈に注目し、網膜血管疾患においても、動脈周囲のcapillary-free zoneに注目することで、OCTAで網膜動静脈を正確に判別できることを報告した(Ishibazawa, TVST, 2019)。また、マサチューセッツ工科大学と共同研究で、網膜血管疾患における網膜無灌流領域を自動で検出し、動脈と静脈のいずれに近接しているかを判定するソフトウェアを新たに開発した。これにより糖尿病網膜症の小 さな網膜無灌流領域は動脈側優位に存在し、静脈側に向かって拡大する可能性を初めて報告した(Ishibazawa, IOVS, 2019)。これらの研究については、国内学会でのシンポジウム(第124回日本眼科学会、第61回日本視能矯正学会、第74回臨床眼科学会)での講演や、総説の執筆(眼科グラフィック、眼科、日本の眼科、あたらしい眼科、眼科診療ビジュアルラーニング)などにて、その成果の啓蒙を行った。 更に最終年度の2022年には、前増殖糖尿病網膜症と増殖糖尿病網膜症において、黄斑部の網膜血管密度低下が周辺部の網膜無灌流領域と相関し、特に黄斑耳側領域の低下がより鋭敏であることを「Relationship Between Nonperfusion Area from Widefield Optical Coherence Tomography Angiography and Macular Vascular Parameters in Diabetic Retinopathy」としてTVST誌に投稿し、in revisionとなっている。これらの研究成果は、第126回日本眼科学会総会にて「OCTAを積極的に活用した糖尿病網膜症診療の実際」として、シンポジウムにて発表した。
|