研究課題/領域番号 |
19K09926
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中澤 満 弘前大学, 医学研究科, 名誉教授 (80180272)
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研究分担者 |
阿部 俊明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90191858)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網膜色素変性 / カルパイン / 視細胞死 / ミトコンドリアカルパイン |
研究実績の概要 |
網膜色素変性は日本人での中途視覚障害原因疾患の14%を占め、緑内障に次いで頻度の高い疾患となっているため、本邦ならびに世界的に見ても本疾患による視覚障害の治療は重要性を増している。本研究はこれまで有効な治療法のなかった網膜色素変性に対して視細胞保護という観点から新規治療法の開発を目指すものである。 我々の研究室では以前、網膜色素変性モデルラット(RCSラット)において網膜変性進行期に網膜内でカルパイン活性が亢進することから、視細胞死にカルパインが関与している可能性があることを明らかにした。さらにミトコンドリアカルパイン-1を特異的に阻害できるペプチドを合成し、これをRCSラットを含む複数の網膜色素変性モデルラットに点眼投与したところ、変性の進行を遅延できることを明らかにした。しかし、合成ペプチドは20アミノ酸残基であり生体内にての分解速度が早いため、その効果の維持には頻回の点眼を要し、慢性疾患の治療法としては現実性に難点があった。 そこで、本研究計画ではペプチドを徐放できるデバイスを東北大学の阿部俊明教授との共同研究にて作成し、そのデバイスを網膜色素変性モデルラットの眼球結膜下に埋殖することでペプチドを長期にわたり徐放させ、視細胞変性を持続させることができるかどうかを検証することを目的とした。当該年度においては、ペプチド徐放デバイスの開発を主たる研究項目として、徐放速度の異なる二種類のデバイスの作成を行った。すなわち、徐放速度の早いタイプと遅いタイプであり、それぞれ変性速度の早いタイプと遅いタイプの網膜変性速度を示すモデルラットへの応用を試みたいと考えている。 実際の動物実験については、本学の動物実験施設の改修工事の影響で開始が遅れたが、本研究課題の研究期間を1年延長して対応する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
弘前大学大学院医学研究科附属動物実験施設の全面改修工事が令和元年10月から令和3年6月まで行われ、本研究課題の動物実験部分の施行ができなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験ができない期間中はカルパインペプチド徐放デバイスの作成に注力し、改修工事が終了し次第動物実験が開始できるように準備した。令和4年度には動物実験が開始できる状態となるよう整備した。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に執行予定であった写真撮影装置が他の研究費から支出することができたため、その分に研究費の未執行分がでたため。また、当該年度には本学大学院医学研究科附属動物実験施設の改修工事の最終年となっていたため、動物実験が予定通りに実行できず、その分を翌年度に施行する計画である。予算の未執行分に関しては翌年度の実験において執行する予定である。
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