研究実績の概要 |
緑内障家系(成人発症の緑内障、先天緑内障)における全エクソン解析から、日本人における緑内障の原因遺伝子の同定、原因候補遺伝子の抽出を試みた。 ①緑内障原因遺伝子同定のための全エクソン解析:20家系以上の成人発症緑内障家系サンプルを収集ゲノムDNAを濃縮し、ライブラリ調整を行い、次世代シークエンサーHiSeq2500(Illumina社)を用いて、全エクソン解析を行った。アミノ酸変異を伴うもの、遺伝様式に基づく絞り込みを行い、候補遺伝子を抽出した。一家系で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子でもあるOPTN遺伝子のV161M変異を1家系で認めた。②先天緑内障における全エクソン解析:発達緑内障早発型は通常家族歴がみられず、遺伝形式が常染色体劣性形式もしくは弧発型と考えられる。現在まで収集した29家系31人について全エクソン解析を施行した。その結果、CYP1B1遺伝子異常を9家系10人に認めた。p.A202T, p.D274E, p.Q340X, p.V420Gは新規の変異であった。また3家系4人においてFOXC1遺伝子に、3種の新規遺伝子変異を認めた。これらから日本人の先天緑内障において30%はCYP1B1遺伝子異常、10%はFOXC1遺伝子異常であることを明らかとし、先天緑内障の原因探索に有用であることが示された。③近視は、緑内障の発症のリスクと報告されたおり、近視の主な原因である眼軸長の伸長にかかわる遺伝子のゲノムワイド関連解析GWASを行った。地域住民コホート調査参加者22,379人および三世代コホート調査参加者の成人11,104人の計33,483人を対象とした。眼軸長は、身長、就学歴の長さ、家族歴、眼圧と正の相関があったが、年齢は負の相関を示した。GWASでは、メタ解析の結果、眼軸長に関連する31個の遺伝子座を特定し、緑内障解析の基礎的データを構築した。
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