• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

アディポネクチン関連因子の網膜機能・形態に及ぼす影響についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K09928
研究機関名古屋大学

研究代表者

上野 真治  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80528670)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードAdiponectin / cone / ERG / RNAseq / retina / CTRP9 / mouse
研究実績の概要

本年はCTRP9ノックアウトマウスについて解析を行った。昨年、8週齢と24週齢のCTRP9ノックアウトマウスでは、両年齢ともに同週齢のWTマウスに比較して暗順応下のERGの差はないが、明順応下の最大刺激のERG b波はWTマウスと比較して8週齢では約64 %、24週齢では53 %であり振幅は有意に減弱しており、CTRP9ノックアウトマウスの錐体機能が低下していることを報告した。また、ERGの結果は8週と24週で変化はなく、錐体の変性は否定的だった。
2020年度は、免疫組織学的な検討と網膜のRNAレベルでの検討を行った。まず通常のHE染色では両マウス間で明らかな差は見られなかった。次に錐体のマーカーであるPNAにて網膜組織を染色したところ網膜切片では両者とも染色はみられ、染色像に大きな違いは見られなかった。次に網膜フラットマウントを作成し、PNAで染色して3次元的に両者のPNA染色の量を比較した。視神経乳頭から同距離の4象限の部位の染色量を比較したところ、WTに比べてCTRP9ノックアウトマウスでは有意に染色が少なかった。このことはCTRP9ノックアウトマウスでは錐体が少ないことを示していた。
次にmRNAの解析として8週齢のWTとCTRP9ノックアウトマウスの網膜のRNAseqを行った。RNAseqの結果は予想通り錐体に特異的に発現しているOpn1mw, Opn1mw, Pde6cなど正常の約半分であり、杆体に発現しているRho GNAT1などは正常とほぼ変わらなかった。これらの結果は、RNAレベルでも錐体の発現の減少をしめしていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね計画通りCTRP9ノックアウトマウスについて解析が進んでいる。免疫組織染色のデータ、RNAseqのデータは我々が推測していた通りの結果であり、今後quantitative real time PCRを行い、結果確認後に論文の作成を進めていく。一方、AdipoR1ノックアウトマウスに関しては実験結果が思ったものとは違ったためこれ以上の研究は中止とした。

今後の研究の推進方策

CTRP9ノックアウトマウスに関しては、錐体の発現が少ないメカニズムまで解析するためにRNAseqのデータで転写因子なども確認し、real time PCRなどで確認してその原因を検索していく予定である。ただし、これ以上の解析は難しい場合は、CTRP9ノックアウトマウスの表現型を報告する論文となる可能性もある。
もともとの計画にもあったAdipoR1ノックアウトマウスに関しては、網膜色素上皮の異常によりリポフスチンの沈着が生じ、ドルーゼンを生じて、二次的に視細胞が変性するのではないかと推測していた。しかし、今回の実験の結果は視細胞の直接的な関与を示唆するものであったため、AdipoR1ノックアウトマウスの解析は中止し、CTRP9ノックアウトマウスの実験に注力していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は新型コロナウイルス感染により学会の中止やオンラインでの開催となった。そのため、学会参加費や出張費が必要なくなったため予定より支出が少なかった。本年は、それらの経費を、実験費や論文投稿費に充てる予定である。

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi