研究課題
2021年度までに、東北大学メディカルメガバンク機構(ToMMo)に解析用正常眼データベースを構築した。具体的には、地域住民コホート全身的な健診データ、一般眼科的検査(屈折値等)データを匿名化し、ワークシート構造のデータベースを作成した。また、眼底写真、光干渉断層計(OCT)の画像データも匿名化し、対応表を作成した。また、解析用匿名化緑内障眼データベースとして、大阪大学医学部附属病院にある電子診療録データを匿名化してデータサーバーに抽出するシステム(CDCS)を用いた緑内障レジストリを構築、設置完了した。2022年度は、ToMMoに構築した解析用正常眼データベースを活用して、緑内障の重要な危険因子であり、近年爆発的な患者増加が世界的な問題となっている近視をはじめとした屈折異常の頻度および危険因子の解析を行い、論文報告した。対応表を用いて、匿名化眼科健診データベースと背景因子データベースを統合して4282人の解析用統合データを作成した。統合データの解析により、本邦において若年層の近視が増加し、これは加齢変化ではなく世代間変化であることを示した。また、加齢および教育により左右眼の屈折値の差が増大することを示した。これは、近年の近視増大が遺伝的因子よりは環境変化により生じていることを証明し、今後の近視および近視に関連する疾患の抑制治療開発への基盤となる成果であった。また、前年度までに大阪大学に構築した緑内障レジストリを活用し、8回以上の視野検査を行った両眼性緑内障症例94例の視野障害進行速度の比較を行い、左右眼の視野進行速度には有意な相関があるが、進行速度の左右差には個人差が大きく、高齢ほど左右差が大きく、進行速度が遅いほど左右差が大きいことを示した。これにより、緑内障の進行には、高齢ほど、あるいは進行速度の遅いものほど、遺伝因子より環境因子の影響が大きくなることを示した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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