研究課題/領域番号 |
19K09933
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
隈上 武志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70294329)
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研究分担者 |
築城 英子 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30363493)
木下 博文 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50530466) [辞退]
松本 牧子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70437903)
北岡 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80234235)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ぶどう膜 / エストロゲン |
研究実績の概要 |
以下の研究目的・方法・計画に沿って研究を進めているが、十分な結果を得ることが難しく、令和3年度も引き続き研究を行う予定である。 目的: ベーチェット病や急性前部ぶどう膜炎などのぶどう膜炎では疫学的に発症の男女差がある。性ホルモンであるエストロゲンが、ぶどう膜炎にどのような影響を与えているのかを明らかにし、ぶどう膜炎の治療に応用することを目的とする。具体的には、エストロゲンのシグナル伝達システムを解明し、その中で抗炎症作用だけをもつ部分を突き止めようとするものである。 方法: 現在、細胞レベルでの検討を推進中であり、ブタ脈絡膜血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞をそれぞれ培養している途中である。内皮細胞と色素上皮細胞の培養は、おおむね再現性を持って培養できるようになった。周皮細胞の培養が再現性に乏しく原因を検索中である。マウス肉腫180腫瘍細胞との培地前調整に問題があるのではないかと考えている。 計画: ブタ脈絡膜血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞の培養を軌道に乗せた後、LPSの受容体であるTLR4の発現を調べる。すなわち、Northern blot解析、Real time quantitative PCRによる遺伝子発現、LPSのbinding analysis、免疫沈降やWestern blotによる蛋白発現などの解析により、培養した脈絡膜血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞におけるTLR4発現を検討する。また、培養上清にLPSを加え細胞の透過性亢進に及ぼす影響をboyden-chamber法による電気抵抗およびアルブミン透過率等を測定し検討する。 サイトカイン系の解析には、E-selectin, ICAM-1など細胞浸潤に関係する接着分子の発現量に対するLPSの影響をReal time quantitative PCR, Northern blot解析やWestern blot 解析により検討する。 さらに、エストロゲンと同時に負荷した場合と比較検討し、エストロゲンの効果について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度から市外の関連病院へ異動し、COVID-19の影響で往来制限が掛かり研究時間を取るのが困難だったため。
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今後の研究の推進方策 |
培養した血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞におけるLPS(リポ多糖、グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分、エンドトキシンであり、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると多彩な生物活性を発現する)の受容体であるTLR4(Toll-like receptor 4:病原体に特徴的な分子を認識するToll様受容体の1つで、LPSやグラム陽性菌のペプチドグリカン層にあるリポテイコ酸をリガンドとして認識する受容体)の発現を調べる。さらに、LPSを負荷し、血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞にどのような変化をもたらすか見極める。すなわち、培養上清にLPSを加え細胞の透過性亢進に及ぼす影響をboyden-chamber法による電気抵抗およびアルブミン透過率等を測定し検討する。 サイトカイン系の解析には、E-selectin, ICAM-1など細胞浸潤に関係する接着分子の発現量に対するLPSの影響をReal time quantitative PCR, Northern blot解 析やWestern blot 解析により検討する。 さらに、エストロゲンと同時に負荷した場合と比較検討し、エストロゲンの効果について検討する。 これら一連のブタ脈絡膜血管細胞での解析終了後、ブタ大動脈より血管内皮細胞と平滑筋細胞を培養し同様の実験を行い、微小血管細胞との比較検討を行いたい。これによりぶどう膜炎が眼局所に起こりやすい機序が解明できると睨んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により、研究時間が取れず、発表のための出張もできなかったため次年度使用が生じた。 現在、細胞レベルでの検討を推進中である。今後、動物レベルでの検討を行う予定であるため、検討に必要なRNA実験用薬品の購入に使用する。 また、次年度も情報収集や研究者間の情報共有、手技研鑽のため、学会や講習会に出席する費用としても使用予定である。
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