研究成果の概要 |
我々はこれまで,神経系の発達に不可欠な遺伝子として見つかり,オートファジー進行に重要な役割を担うことが知られていたAMBRA1に着目してきた.糖尿病や網膜疾患におけるオートファジーの重要性が報告される中、オートファジー不全は糖尿病網膜症を増悪することが予想された.我々は,世界に先駆け作製したAMBRA1のコンディショナルKO(cKO)マウスを用い,糖尿病網膜症への影響を解析した.その結果網膜においてオートファジーに障害を生じ,炎症を増悪するモデルであること,さらには網膜前駆細胞と思われる一部の網膜細胞の増殖を誘導し,糖尿病による網膜障害を緩和する可能性を見出した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回,AMBRA1が,網膜におけるオートファジーや炎症の機序において非常に重要な遺伝子であることが明白になった.さらにはAMBRA1が細胞増殖の制御に重要な因子であることが報告される中.AMBRA1のKOマウスでは網膜前駆細胞と思われる一部の網膜細胞の増殖を誘導し,さらには糖尿病による網膜障害を緩和する可能性を見出した.AMBRA1の制御により,オートファジー,さらには網膜前駆細胞の増殖をコントロールすることが出来れば、新たな糖尿病網膜症治療の開発につながることも期待できる.
|