研究課題/領域番号 |
19K09941
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
瓶井 資弘 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40281125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | APC / 網膜虚血 / OIR |
研究実績の概要 |
まずは虚血網膜モデルマウス選定を行った。レーザーを用い局所に網膜虚血領域を作成する方法を行ったが、安定した虚血領域を作成できず、APCの効果判定には適さなかった。次に高酸素誘導網膜虚血モデル(oxygen-induced retinopathy:OIR)を用い、モデル作成を行った。このモデルでは、P7からP12にかけて高酸素(75%酸素)下で飼育することで網膜血管が退縮し、その後血管再生がP28にかけて見られる。OIRをもちいると安定し網膜虚血領域を作成することができたが、その後の血管再生のスピードに個体差があった。その個体差の原因を検討したところ、発育(体重増加)が関与していることが分かった。APCによる血管再生効果の定量には、自然経過による血管再生スピードを一定にする必要があるため、本研究では、P12では5gであり、かつその後のP15,P17の時点で体重が増加するマウスを用いることとし、同一個体の左右の網膜で、効果を比較をすることで、ばらつきを抑えることとした。 次にOIRを用い、APCの効果が確認できるか検討した。APCの投与タイミングは高酸素直後のP12とし、評価タイミングは血管新生が最大になるP17とした。APCを眼内に投与し、非投与群と網膜虚血領域を測定したところ、APC群において網膜虚血領域が狭くなっていることが確認できた。よってモデルマウスにおいても、APCによる網膜虚血改善効果が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
網膜虚血モデルの選定に想定以上の時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずOIR後の血管再生へのAPCによる血管再生促進作用の仕組みを、血管を構成する血管内皮細胞・壁細胞、血管の維持と伸展にかかわるアストロサイト・マイクログリアがどのように関与しているか免疫染色を用い解析し、APCがどの細胞に対し効果があるのか解析する。あと血管基底膜の状態も調べ、OIR後に見られる血管再生が、血管新生なのか、既存血管の再灌流なのか検証する。 その後は血管を構成する網膜血管内皮細胞、壁細胞。伸展・維持などの血管制御にかかわる網膜アストロサイト、マイクログリア、関与する可能性のある、血管周囲組織を構成するニューロン(神経節細胞、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、視細胞)とミュラー細胞、関与の可能性があるかも知れない血管内皮前駆細胞、造血幹細胞、骨髄間質細胞、これらの細胞を培養し、培養液にAPCを投与した場合の、細胞挙動や発現分子の変化を、通常培養条件、及び、低酸素チャンバー内培養を用いた虚血条件下で調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルの選定に時間がかかったため、その後の解析に使用予定であった試薬の購入が予定通り行われなかったため。 来年度、試薬購入に使用する予定
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