研究課題/領域番号 |
19K09941
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
瓶井 資弘 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40281125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アストロサイト / 内皮細胞 / 網膜虚血 / APC |
研究実績の概要 |
まず、高酸素誘導網膜虚血モデル(oxygen-induced retinoathy:OIR)を用いて、血管の維持と伸展に関わるアストロサイトが網膜虚血領域においてどのように関与しているか解析した。このモデルは生後7から生後12にかけて高酸素(75%酸素)下で飼育することで網膜血管が退縮する。高酸素下の生後9日、高酸素直後の生後12日、相対的虚血状態に陥った生後14日において眼球摘出し、免疫染色を用いて網膜アストロサイトの形態変化について調べたところ、生後12,14日目の網膜アストロサイトの変性が認められた。 次にOIRモデルを用い、APCの効果が確認できるか検討した。APCの投与タイミングは高酸素直後の生後12日目とし、マウスの硝子体内に注入し、生後12,14日目に眼球摘出し解析した。APC投与群では、非投与群と比較して、網膜虚血領域においてアストロサイトの変性が緩徐である事が確認できた。 またOIRモデルでは、生後12日目に残存血管から発芽した血管が虚血網膜内に伸長し、血管再生が開始した。生後14日から主に静脈壁にて増殖した内皮細胞が局所的に集積し、硝子体腔に押し出されるようにしてNeo-Vascular Tufts(NVT)が形成された。生後17日にかけて各NVTが増大するとともに、隣接するNVTと癒合した。NVT内部では、内皮細胞が頂底極性を維持しつつ、連続した管腔構造をもつ糸球体様血管網を形成した。個々の内皮細胞はペリサイトに被覆されており、ぺりサイトを消失させると糸球体血管の管腔径は不均一化した。よって虚血網膜では、内皮細胞が自律的に糸球体様新生血管を形成することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度研究室の移動があった。新しい研究室の整備、及び実験室での安定したOIRマウスの作成に時間を用したため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、網膜虚血領域における網膜アストロサイトの実験を進める。また、血管を構成する網膜血管内皮細胞、壁細胞。伸展・維持などの血管制御にかかわるマイクログリア、関与する可能性のある、血管周囲組織を構成するニューロン(神経節細胞、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、視細胞)とミュラー細胞、関与の可能性があるかも知れない血管内皮前駆細胞、造血幹細胞、骨髄間質細胞、これらの細胞を培養し、培養液にAPCを投与した場合の、細胞挙動や発現分子の変化を、通常培養条件、及び、低酸素チャンバー内培養を用いた虚血条件下で調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい実験室の稼働に時間を要し、解析に使用予定であった試薬の購入が予定通り行われなかったため。 次年度試薬購入に使用予定。
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