高酸素誘導網膜虚血モデル(oxygen-induced retinopathy:OIR)を用い、安定した網膜虚血領域を作成した。その際に、その後の血管再生スピードに個体差があることが分かった。その個体差の原因を精査したところ、発育(体重増加)が関与していることが分かった。また、OIRを用い、高酸素直後の生後12日目にAPCを硝子体内投与し、生後17日目に眼球摘出し、免疫染色にて非投与群と網膜虚血領域を測定したところ、APC群において網膜虚血領域が抑制されていることが確認できた。また、血管の維持と伸展に関わる網膜アストロサイトが網膜虚血領域において関与しているかOIRモデルを用いて解析したところ、生後12日から14日にかけて網膜アストロサイトの変性が抑制されることが認められた。また、APCを投与することにより網膜虚血領域において、網膜アストロサイトの変性が抑制されることが確認された。またOIRモデルでは、生後12日目に残存血管から発芽した血管が虚血網膜内に伸長し、血管再生が開始した。生後14日から主に静脈壁にて増殖した内皮細胞が局所的に集積し、硝子体腔に押し出されるようにしてNeo-Vascular Tufts(NVT)が形成された。生後17日にかけて各NVTが増大するとともに、隣接するNVTと癒合した。NVT内部では、内皮細胞が頂底極性を維持しつつ、連続した管腔構造をもつ糸球体様血管網を形成した。個々の内皮細胞はペリサイトに被覆されており、ペリサイトを消失させると糸球体血管の管腔径は不均一化することが確認された。
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