研究課題
自然界に存在するアニオンチャネルロドプシンとして、多波長型GtACR1や青型GtACR2が報告されている。この2つはこれまで報告されたアニオンチャネルロドプシンより光応答性が高いものの、カチオンチャネルロドプシンと比較した場合、得られる光誘発イオン電流はまだ低いものである。これに対し、我々が独自に開発したアニオンチャネルロドプシンは、1μW/mm2の弱いLED光刺激によっても300pAを超える応答が得られることを示しており、これは既存のGtACR1、GtACR2と同等あるいはそれ以上の応答である。しかしながら、この開発したアニオンチャネルロドプシンにおいても、他のアニオンチャネルロドプシン同様、膜移行性が悪いことが明らかとなった。チャネルロドプシンは、細胞膜で機能するため、膜局在化を亢進できれば、光応答により得られる過分極応答が増大すると考えられる。本研究では、バイオインフォマティクスを用い、膜局在および光応答性を増大させる新たな遺伝子の開発を行ってきた。本年度は開発したアニオンチャネルロドプシンをベースに、更に機能の向上を予測した遺伝子の作製を行い、HEK293細胞において発現させてパッチクランプ法を用いて機能解析を行った。作製した変異タンパク質について調べた結果、ピーク電流と膜発現には負の相関が見られた。その中でも顕著に変化があった変異が2つ得られた。1つは、AlaをSerに変換した1アミノ酸置換で、細胞膜発現性の有意な向上が見られたが、光反応性の低下が示された。もう一つは、ValをIleに置換した場合で、改変前と比較して高い応答性を示し、膜局在の改善が観察されたものの、有意差は得られなかった。これらの結果から、Guillardia theta由来アニオンチャネルロドプシンでは、カチオンチャネルロドプシンとは異なり、膜発現性と光反応性には負の相関があることが示された。
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