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2021 年度 実施状況報告書

フェレット緑内障モデルを用いた視覚中枢神経障害の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K09946
研究機関東京大学

研究代表者

藤代 貴志  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60789600)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード外側膝状体 / 緑内障 / 中枢神経障害 / グリア細胞 / 視皮質
研究実績の概要

我々が作成したフェレット高眼圧モデルを用いることで、高眼圧がさらに高次の大脳視覚野においてどの様な影響を及ぼすことを明らかにするために、我々の開発したフェレットの高眼圧モデルの大脳視覚野の変化をチトクロームオキシダーゼ(CO)染色を用いて解析した。
過去に我々が開発したフェレット高眼圧モデルの作成方法で、9匹のフェレットに、培養結膜細胞を右眼前房に注入して、高眼圧を誘発した。コントロールとして無処置の正常なフェレットを3匹使用した。高眼圧となったフェレットとコンロールのフェレットに対してCO染色を行い、大脳視覚野のII-III層およびIVC層における代謝活性を比較した。
その結果、高眼圧フェレットの視覚野の右および左II-III層におけるCO染色強度は、それぞれ39.8±10.3および41.9±9.2 arb.unitであった。コントロール群では88.1 ± 8.1 arb.unitであった。高眼圧眼から投射するII-III層のCO染色強度は、コントロール群よりも有意に低かった(unpaired t test, p < 0.01)。次に、高眼圧フェレットの視覚野の右および左IVC層のCO染色強度はそれぞれ60.3±12.8および60.0±13.5arb.unitであった。コントロール群では、111.4 ± 9.6arb.unitであった。高眼圧眼から投射するIVC層のCO染色強度は、コントロール群よりも有意に低かった(unpaired t test, p < .01)。
以上から、高眼圧眼の視覚野ではCO染色強度が低下し、代謝活性の低下が示唆され、高眼圧は眼球だけでなく、高次中枢の視覚野にまで障害を引き起こすことを明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今回、2022年にJJOという眼科の学術雑誌に論文発表を行うことができたため。

今後の研究の推進方策

高眼圧眼の視覚野ではCO染色強度が低下し、代謝活性の低下が示唆され、高眼圧は眼球だけでなく、高次中枢の視覚野にまで障害を引き起こすことを明らかにすることができた。活性低下のある大脳皮質の部位から、眼球のRGCのおけるW細胞系の活性低下がX,Y細胞系よりも軽度である可能性が示唆された。また、我々のこれまでの研究から、LGNにおいては、グリア系の細胞の活動性が上がっていることも確認ができている。今後は、大脳皮質において、神経保護やグリア系細胞の活性コントロールなどが可能になるかどうかを研究していきたいと考えている。
また、高眼圧モデル作成においては、まだ極端な高眼圧しか作成できていないため、こちらを適度な高眼圧にとどめることができる新しいモデルや現存のモデルの改変を検討したいと考える。中程度の高眼圧モデルの開発もできれば、薬剤の効能などの効果の判定にも今後応用できる可能性が見込まれる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍にて、研究を一時的に停止していたため、研究費を残しておいた。
今後、学会発表や論文投稿としての費用として使用を検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Visual cortex damage in a ferret model of ocular hypertension2022

    • 著者名/発表者名
      Fujishiro Takashi、Honjo Megumi、Kawasaki Hiroshi、Aihara Makoto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Ophthalmology

      巻: 66 ページ: 205~212

    • DOI

      10.1007/s10384-022-00901-8

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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