本研究では、角膜専用レーザー共焦点顕微鏡と前眼部光干渉断層計(OCT)を用いたDMEK後角膜の生体組織学的、形態学的特長の解析を行った。これまでに、15名のDMEK後患者に対して、レーザー共焦点顕微鏡を用いて、角膜中央の生体観察を角膜上皮、実質、ホスト-ドナー層間、ドナー角膜実質、ドナー内皮の各レベルにおいて広範囲に行った。得られた多数の2次元画像をコンピュータプログラム(Adobe Photoshop)を用いて結合し、広範囲モンタージュを作成した。更に広範囲モンタージュデータの電子トレース像を作成し、2次元構造の解析を行っている。また、コンピュータプログラム(Image-Pro Express)を用いてホスト、ドナーそれぞれの実質、内皮、点状層間高輝度沈着物、巨大層間高輝度沈着物の密度を計算した。さらに、前眼部OCT(カシア2、トーメー)を用いて、角膜各層の厚みの変化、角膜形状異常などに特に注目して解析を進めた。また、前眼部OCTを用いて、角膜各層のen-face画像(正面画像)の解析もおこなった。また、DMEK専用器具の試作品を作成し、プロトタイプについて臨床研究を行った。臨床研究の成果として、無後嚢眼に対するDSAEKの際に有用な"life line suture technique"を開発し、難症例に対しても安全なDSEAKを行えるようになった。さらに、日本人眼に対するDMEK後の角膜内皮細胞減少に関する因子を検討しPLoS Oneに報告した。また、DMEK後の前房水中のサイトカインの定量を行い、DMEKを行うことにより、前房水中の炎症性のサイトカインが減弱することが判明した。この結果はScientific Report誌に報告した。
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