研究実績の概要 |
研究開発した補償光学適用OCTにより、萎縮型AMD患者の黄斑部視細胞・網膜色素上皮細胞・脈絡毛細血管板を経時的に観察し、細胞密度、細胞形態、血管密度・形態・配列に関するデータを蓄積し、地図状萎縮の進行に関与するパラメータを探求した。また軟性ドルーゼン・pseudodrusen・石灰化ドルーゼンが視細胞・網膜色素上皮細胞・脈絡毛細血管板に与える影響について形態的に考察した。これまでに51名の撮影を行った。経時的変化を観察するため、6ヶ月に一度検査を行った。中心窩から0.5mm,1mm,2mmの各細胞像を上・下・鼻・耳側で取得し、2回目以降の撮影では初回と同部位を測定した。 これらのデータにより、萎縮型AMD症例では地図状萎縮病巣の周囲に、広く黄斑部視細胞障害および脈絡毛細血管板の障害を認めた。この結果は脈絡毛細血管板障害・視細胞障害が網膜色素上皮障害に先行することを示す。またこれらの異常は、ドルーゼンを認める症例、特にpseudodrusenを認める症例に顕著に認められた。 我々は更に補償光学OCTの開発を進め、正常眼において、視細胞細胞体およびミュラー細胞の可視化に世界で初めて成功した(Kadomoto S, Ooto S, et al.Transl Vis Sci Technol. 2021)。本研究の最終段階として、萎縮型AMD患者の視細胞細胞体、ミュラー細胞の形態的異常について解析を進めている。
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