研究課題/領域番号 |
19K09959
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
臼井 嘉彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (50408142)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / オミックス解析 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
ぶどう膜炎は視力障碍の主要な原因疾患の1つであるが、診断や治療効果判定に確立したバイオマーカーや治療法は未だない。本研究では、各種ヒトぶどう膜炎の臨床データおよび検体を用いて、病態をトランスオミックス解析で包括的に解明することで診断や治療効果判定におけるバイオマーカーを確立し、これらに対する新規治療法の開発も視野に入れる。初年度から次年度にかけて、ヒトぶどう膜炎の血清、眼内液を用いて網羅的なメタボローム解析、次世代シークエンサーを用いたmicroRNA2,565種類の網羅的解析を行った。miRNAについては、ベーチェット病患者では22種類のmiRNAの発現亢進と42種類のmiRNAの発現低下、サルコイドーシス患者では9種類のmiRNAの発現亢進と140種類のmiRNAの発現低下、Vogt-小柳-原田病患者では13種類のmiRNAの発現亢進と100種類のmiRNAの発現低下がそれぞれ確認された。メタボローム解析では、78種類の水溶性代謝物が定量された。ベーチェット病、サルコイドーシス、VKHの比較では、それぞれ5種類、4種類、5種類の代謝物の発現に有意差が認められた。クラスター解析ではベーチェット病とVKHが類似し、サルコイドーシスと区別されることが確認された。さらに、8つの代謝物を用いた正準判別分析では、ベーチェット病、サルコイドーシス、VKHそれぞれのAUCは0.89、096、0.87であった。以上より、非感染性ぶどう膜炎における血清中のmiRNAおよび代謝プロファイルを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の目標であった、これらのオミックスデータから候補因子をサポートベクターマシン(SVM)による機械学習法(人工知能)により解析を行い、各種ぶどう膜炎に関与するバイオマーカーを明らかにしており、論文を3報準備中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後もヒトぶどう膜炎の血清、唾液、眼内液を用いて網羅的な液性因子の蛋白レベルでの解析、メタボローム解析、次世代シークエンサーを用いたmicroRNA2,565種類の網羅的解析を行い、症例数の蓄積を行っていく。引き続き論文も執筆していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の購入費が24511円以上したため、次年度に繰り越します。
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