研究課題
ぶどう膜炎患者を対象に末梢血をサンプルとし、高感度DNAチップを用いてマイクロRNAの網羅的発現解析を実施し、バイオインフォマティックスによりその標的遺伝子を探索した。さらにマイクロRNAの複合的メカニズムや相互関係を検討し、新規バイオマーカーの創出を試みた。東京医大病院眼科を受診した治療の既往がないベーチェット病患者10例、サルコイドーシス患者18例、VKH患者17例を対象とし、血清からRNAの抽出を行った。次いでマイクロアレイを用いて2,565種類のマイクロRNA発現レベルを網羅的に解析した。対照として11例の健常者および白内障患者を用い、各非感染性ぶどう膜炎において変動するマイクロRNAを探索した。その結果、ベーチェット病患者では281種類のマイクロRNAの発現増加と137種類のマイクロRNAの発現低下がみられ、サルコイドーシス患者では35種類のマイクロRNAの発現増加と86種類のマイクロRNAの発現低下、VKH患者では153種類のマイクロRNAの発現増加と35種類のマイクロRNAの発現低下がそれぞれ確認された。いずれのぶどう膜炎でも18種類のマイクロRNAの発現増加と27種類の発現低下が共通して認められた。一方、血清マイクロRNAの網羅的解析からクラスター解析を行った結果、ベーチェット病、サルコイドーシス、VKHにおけるマイクロRNAの発現パターンが異なることがわかった。さらに主成分分析においても、クラスター解析と同様にベーチェット病、VKH、サルコイドーシスが血清マイクロRNAのプロファイルにより集団群が分かれた。以上の結果より、サイトカインを代表とする免疫液性因子以外にも炎症病態を修飾するマイクロRNAのプロファイルが各ぶどう膜炎で異なっていることが示された。
2: おおむね順調に進展している
オミックス解析の中でもマイクロRNAとメタボローム解析の両方とも論文がアクセプトされたため。
オミックス解析の中でも、プロテオミクス解析による検討を現在行っている。また、マイクロRNAとメタボローム解析においても症例数を増加させさらに検討を行っている。最終的には統合オミックス解析を行うことで、さらなるバイオマーカ創出を試みていく。
8837円余りが生じてしまった。残りは次年度に使用する予定である。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 2件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
Am J Pathol
巻: in press ページ: -
10.1016/j.ajpath.2021.02.014
Medicine
巻: 100 ページ: e24789
10.1097/MD.0000000000024789.
Invest Ophthalmol Vis Sci
10.1167/iovs.62.1.15.
巻: in press ページ: in press
10.3390/jcm9113458.
Ocul Immunol Inflamm
10.1080/09273948.2020.1791346
Exp Eye Res
10.1016/j.exer.2020.108190
10.1080/09273948.2019.1709649
Diabetologia
巻: 64 ページ: 70-82
10.1007/s00125-020-05309-y
J Clin Med
巻: 9 ページ: 4084
10.3390/jcm9124084.
巻: 9 ページ: 3955
10.3390/jcm9123955.
JCI insight
巻: 5 ページ: e137317
10.1172/jci.insight.137317.
JMA J
巻: 3 ページ: 201-207
10.31662/jmaj.2020-0022
巻: 9 ページ: 1844
10.3390/jcm9061844.
巻: 28 ページ: 552-555
10.1080/09273948.2019.1609047