研究課題/領域番号 |
19K09960
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
神野 英生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60514536)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | マイクログリア / マクロファージ / ケモカイン / 視細胞死 / 網膜変性 / 黄斑変性 / 炎症 |
研究実績の概要 |
加齢黄斑変性(Age related macular degeneration; AMD)や網膜色素変性(Retinitis pigmentosa; RP)などの網膜変性疾患は視細胞の細胞死(視細胞死)を生じ失明に直結する難治性疾患である。近年の、我々の研究結果などから、視細胞死の進行には網膜内の局所炎症が重要であることが明らかとなってきた。中枢神経系である視細胞は一度ダメージを受けるとその後の再生は不可能であることから、炎症を抑制することが視細胞死の進行を防ぐことになるのかを検討するのは、急務であると考えられる。 今回申請者が検討している「ドラッグ・リポジショニング」とはすでに使用実績のある薬剤を本来の対象疾患だけではなく別の疾患への薬効を検討する既存薬の再開発を意味する。 本年度において我々はミノサイクリンの網膜変性への治療メカニズムを検討した。ミノサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質でありながら、マイクログリア抑制作用を示し網膜変性への治療効果が期待されている薬剤である。我々は、網膜内におけるCcr2陽性マイクログリア/マクロファージが視細胞死の重症化に重要な役割を担うことを報告した。そこでミノサイクリンが網膜変性時のCcr2の発現へ及ぼす影響を検討した。我々が開発したCx3cr1/Ccr2可視化網膜変性自然発症モデルであるMertk-/-Cx3cr1GFP/-Ccr2RFP/-マウスを3群に分け、それぞれ4週齢から基剤投与、ミノサイクリン50mg/kg (Mino50)および100mg/kg (Mino100)を1日1回14日間投与し、網膜内におけるマイクログリアの動態を観察した。今研究結果は第123回日本眼科学会総会およびARVO2019において発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミノサイクリンの網膜変性への治療メカニズムを検討し、論文投稿をすでに開始していいる。
|
今後の研究の推進方策 |
網膜変性、黄斑変性をターゲットとした「ドラッグ・リポジショニング」として他分野にて使用されている薬剤や、眼科内で古くから使われている薬剤の再検討などを行っている。詳細は今後の学会や論文投稿にて報告していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
効率よく、無駄なく研究費を使用するため。
|