研究課題/領域番号 |
19K09961
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
堀 裕一 東邦大学, 医学部, 教授 (70379171)
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研究分担者 |
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (80509307)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 眼表面温度 / 角膜知覚 / 前眼部血流 / ドライアイ / オキュラーサーフェス |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトおよび実験動物において、様々な条件および疾患における「眼表面温度」と「前眼部血流」の関連性を明らかにし、さらに「温度」と「血流」が与える「神経」への影響を検討することで、オキュラーサーフェスの恒常性維持に係るメカニズムを解明することを目的としている。 2年目(2020年度)は、「前眼部における血流と温度の関連性」を検討するために、前年度に確立した前眼部用レーザースペックルフローグラフィー(前眼部用LSFG)を用いた測定方法にて、前眼部血流と眼表演温度の関連について検討し、正常ボランティア40名を用いて1)温罨法で眼周囲を温めた時、2)カプサイシンを口に含んで血流を上昇させた時、の眼表面温度と前眼部血流を測定し、それらが相関していることを証明した。本研究は、Diagnositics誌より公表することができた(Itokawa et al. Diagnostics 2020,10,695)。 また、2021年度分研究費を前倒し新たに購入した検査機械(マイボグラフィー)を用いてマイボーム腺機能不全(MGD)における眼表面温度と血流についての臨床研究を開始した。特に、MGD治療前後による眼血流および温度の変化について興味深い知見を得ることができ、研究結果の一部を角膜カンファランス2021で発表した。現在、論文を執筆中である。今後は、目に負荷をかけた状態(ドライアイやVDT作業)での前眼部血流の変化について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目(2020年度)は、前年度に確立した前眼部用レーザースペックルフローグラフィー(前眼部用LSFG)を用いた測定方法にて、正常ボランティアに参加していただいた臨床研究を遂行することができ、英語論文(Diagnositics誌)として公表することができた。 また、2021年度分研究費を前倒し新たに購入した検査機械(マイボグラフィー)を用いてマイボーム腺機能不全(MGD)における眼表面温度と血流についての臨床研究を予定よりも早い段階で開始することができた。今後、予期していない事態が起こったとしても研究の持続は可能であると考えている。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、健常人に日常生活で起こりうる様々な負荷をかけた状態(風刺激やVDT作業、コンタクトレンズ装用など)での眼表面温度および血流の変化について倫理委員会の承認を得て、研究を開始している。 また、これまでの2年間で、ある程度健常人の眼表面における温度と血流の動態について知見が得られたため、次年度は、最終的な目標である、ドライアイなどのオキュラーサーフェス疾患における眼表面温度と血流の動態について研究を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、すべての学会がWeb開催となり、学会出張費(旅費)の出費が無くなった。研究計画が順調に進んでいることで、次年度(2021年)は学会や研究会での発表や論文作成が予定よりも多くなることが見込まれるため、今回生じた余剰分(次年度使用額)は、旅費および論文作成費用として使用する予定である。
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