研究課題
本研究は、ヒトおよび実験動物において、様々な条件および疾患における「眼表面温度」と「前眼部血流」の関連性を明らかにし、さらに「温度」と「血流」が与える「神経」への影響を検討することで、オキュラーサーフェスの恒常性維持に係るメカニズムを解明することを目的としている。3年目は、前眼部用レーザースペックルフローグラフィー(前眼部用LSFG)と前眼部用サーモグラフィーを用いて、様々な条件における前眼部血流と眼表面温度の関連について検討した。まず、マスク装用における眼表面の状態の変化を検討し、マスクの上方から漏れ出る息の流れによって、BUTが短縮し、温度や血流が変化することを発見した。本知見により、コロナ禍において世界中でトピックとなったマスク関連ドライアイ(Mask-associated dry eye: MADE)を実験的に証明することができた。また、様々なコンタクトレンズ装用により、眼表面の状態が変化することを温度と血流の観点から実証することができた。本知見により、コンタクトレンズ装用による不快感(Contact Lens Discomfort: CLD)の病態に眼表面の温度および血流が関連していることが示唆された。また、ドライアイラットモデルを用いた研究により、ドライアイにより中枢性感作から神経障害性疼痛が起こることを証明する実験を行った。片側のみ涙腺摘出したドライアイモデルラットでは、摘出側のみ感覚過敏と疼痛過敏が出現し、摘出側の三叉神経核において、神経過活動、グリア細胞の活性化、抑制性介在神経の変性による減少、そして電位依存性Ca2+チャネルα2δサブユニット発現が亢進していた。また、一度病態が完成してしまうと、点眼治療で角膜上皮障害が消失しても感覚過敏と疼痛過敏は改善しなかった。そこで、α2δサブユニットのリガンドであるプレガバリンの持続皮下投与を行ったところ、感覚過敏と疼痛過敏が改善し、α2δサブユニット発現が健常眼レベルまで戻った。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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