研究課題
房水流出主経路は線維柱帯からシュレム管、集合管を経て、強膜内静脈叢あるいは房水静脈を介して上強膜静脈へと至る。点眼治療や低侵襲な緑内障手術である流出路再建術の眼圧下降効果は個体差が大きく、治療効果をあらかじめ予測することは困難である。以前研究代表者は世界に先駆けて、光干渉断層血管造影(Optical coherence tomography angiography: OCTA)を用いた房水流出主経路に関わる血流の画像化を報告した。本研究ではこの方法を用いて、緑内障治療効果予測に活用できる非侵襲的検査法の確立を目的とする。2020年度までに、点眼治療中の緑内障眼を対象としてOCTA血流画像の表層血管密度が緑内障点眼の影響を受けていること、深層血管密度が眼圧値と正の相関を示すことを明らかにした。さらに、房水流出主経路の房水流出を促進するリパスジル点眼薬による深層血管密度が点眼後に著明に上昇することを明らかにした。リパスジルによる眼圧下降効果に点眼前の深層血管密度が有意に関連していることも明らかにした。2021年度は、流出路再建術を施行予定の緑内障患者37人37眼に対して術前OCTA深層画像と眼圧下降効果との関係を解析した。23眼が手術成功群、14眼が手術不成功群に分類された。術前OCTA画像の深層血管密度は成功群で有意に低かった(P=0.009)。手術成功率に有意に関連する因子の多変量解析の結果、術前の高眼圧(P<0.001)に加えて術前OCTA深層血管密度が高いこと(P=0.022)が手術不成功に有意に関連した。術前OCTA深層血管密度が低い症例で流出路再建術が奏功しやすいと考えられ、OCTAが緑内障手術の効果予測に応用できる可能性が示唆された。
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