研究課題
本年度は非検査眼の状態により、緑内障を罹患した検査眼の視野感度がどのような影響を受けるかを確認した。特に両眼開放下で被験者がどちらの眼に視標が提示されているか自覚することなく検査を行う両眼ランダム検査を用いて、従来の単眼遮蔽での視野感度と比較した。視力と中心視野閾値に基づいて両眼をそれぞれbetter eye、worse eyeに割り当て、単眼毎視野検査と両眼ランダム単眼視野検査によって得られた中心視野感度の結果を比較した。その結果、両眼ランダム単眼視野検査では単眼毎視野検査と比べて、better eyeの中心感度は有意に高かった反面、worse eyeの中心感度は有意に低かった。単眼毎視野検査は依然として臨床現場で緑内障の検出や進行評価に最も有用な手段であるが、両眼ランダム単眼視野検査は、患者の日常生活に近い両眼視でのQuality of Vision (QOV)を評価にする上で今後有用な臨床ツールであることが示唆された。本研究は今年度査読付きの国際雑誌に受理にされ出版された。眼球運動を加味した視野感度測定も、日常視に近い視野感度測定という関連からは重要である。本年度は眼位移動プログラムの作成も進めた。眼球運動負荷を大きくしすぎると、再現性が大きく低下することが判明した。本年度は同プログラムを完成させ、屈折異常以外に疾患のない眼に対して施行した。結果として、若年者では正視位や内転位よりも外転位において感度が若干ながら有意に向上することが判明し、本研究内容は査読のある国際雑誌に投稿・受理された。今後は疾患眼においても臨床試験を開始する予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度までに、片眼遮蔽状態と両眼開放状態における感度の違いについて2本の論文を査読付きの国際雑誌で発表した。また、眼位移動プログラムの作成もおおむね完了し、1本の論文を査読付きの国際雑誌に受理された。
今年度は眼位移動プログラムを疾患眼においても施行し、正常眼との感度変化の相違を確認する予定である。
コロナウイルス蔓延のため、海外学会が中止となったため
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Journal of Glaucoma
巻: Publish Ahead of Print ページ: 537-544
10.1097/IJG.0000000000001764
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