研究課題/領域番号 |
19K09978
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
榛村 重人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00235780)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 疾患iPS細胞 / 角膜内皮ジストロフィー / 角膜内皮分化 / 小胞体ストレス / 酸化ストレス / ドラッグスクリーニング / 病態表現モデル |
研究実績の概要 |
本年度はまずFuchs Corneal Dystrophy(以下FCD)患者由来樹立iPS細胞の品質評価を行った。SSEA4、Oct4などの未分化マーカーの発現を確認した他、神経、骨、軟骨や脂肪等の分化能を有する事を実証した。次に既報を改変した方法で約一か月の培養期間を経て、FCD群および健常人コントロール由来iPS細胞から角膜内皮細胞への分化誘導を行い、角膜内皮マーカーの発現を確認した。さらに、本邦型、欧米型のFCD由来角膜内皮細胞を誘導し、健常人コントロール由来誘導内皮細胞と比較して病態解析を行った。qRT-PCRの解析においてFCD患者由来角膜内皮細胞では小胞体ストレス関連分子・酸化ストレス応答関連分子、DNA障害応答因子の上昇がみられた。また標的因子における免疫組織学的解析を行い、FCDの病態表現型再現・評価することができた。さらにDNAマイクロアレイによる多変量解析を行い、日本人株そしてオランダ人株のFCD疾患由来角膜内皮細胞においてに共通して上昇している遺伝子24個および共通して下降している遺伝子26個を新規に同定した。次年度はこれらの結果を踏まえ、病態を改善する薬剤・低分子化合物の探索を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の成果として本邦型、欧米型のFCD由来角膜内皮細胞を誘導する系を構築し、 既知のERストレスや酸化ストレスやDNA損傷といった病態表現型を確定することができた。本研究を進める上で大きな足掛かりを得ることができた。よって研究は目的にむかいほぼ予定通り順調に進んでいると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の成果として本邦型、欧米型のFCDで定量可能な発症モデルを確定することができた。次年度はHTSのシステムを用いてドラグリポジショニングによる新規化合物による薬剤負荷がフックス角膜変性症の病態表現型を改善しうるか検討を行う。我々はin cell analyzerを用いて数百種類の低分子化合物をアッセイする系を既に有しており、網羅的に薬効性のある候補薬をスクリーニングする予定である。また本疾患においては3塩基繰り返し配列(リピート)の異常伸長も指摘されており、トリプレットリピートに関しても解析を施行することを検討している。
|